錦江湾の色

「桜島 海底に流れる時間」展も残すところ1週間あまりとなりました。

さて、今日は錦江湾の海の色のお話です。

写真展のチラシに掲載している「ミナミハンドウイルカ」と「アカオビハナダイ」の写真。
同じ錦江湾なのに海の色が違うことに気が付きましたでしょうか。

ミナミハンドウイルカは「青」
アカオビハナダイは「緑」です。

海の色というと普通イルカの写真のような青をイメージしますよね。
でも、なぜアカオビハナダイの方は緑なのか…。

錦江湾は季節によって海の色が変わり
青色は冬の色、緑色は夏の色、なのだそうです。

夏になると植物性プランクトンが豊富に繁殖し
その葉緑体が日光に透けて見えるので夏は海の色が緑色になるそうです。
出羽さんはこの錦江湾の夏色を「錦江湾Green」と名付けています。

私たちの日常にある四季折々の色に、地元ならではの名前を付けたら、
季節の移ろいが楽しくなって素敵ですね。

楽しみですね

日曜日とあって、今日は県外からのお客様が多くご来館くださいました。
出羽さんの写真展を楽しみに、
週末のお休みを利用してご来館下さっているのだそうです。

『九州新幹線が全線開業すればもっと鹿児島が近くになるから、来月また来たいなぁ』
と言ってくださる方も。

九州新幹線の全線開業もいよいよ来月に迫りました。
新車両の『さくら』のボディカラーは、日本の伝統色の【白藍】(しらあい)という色です。
藍色の中で最も薄い色なのだとか。
薄い水色、といったイメージの色でしょうか。

その車体が桜舞う九州路を駆け抜ける姿は、さぞや美しいでしょうね。

来月『さくら』に乗ってご来館下さるお客様もいらっしゃることでしょう。
県外の方々と交流できる機会が増えると思うと、とても楽しみです。

現代陶芸薩長展 in 鹿児島

NPO法人伝統白薩摩研究会より企画展と特別講演のご案内をいただきました。
「現代陶芸薩長展 in 鹿児島」

会 期:4月20日(水)〜5月5日(木)
会 場:鹿児島県歴史資料センター黎明館2階第二特別展示室
入場料:一般500円(高校生以下無料)

タイトルからお察しいただけるとおり
薩摩焼(鹿児島)と萩焼(山口)の現代作家による合同作品展です。

「一楽二萩三唐津」と言われ、日本を代表する名陶の一つの萩焼。
日本国内はもとより海外でも「SATSUMA」と呼ばれ高い評価を得た薩摩焼。
共に起源は豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄慶長の役)で
朝鮮から連れ帰った陶工によるものです。
同じルーツを持ちながら、
それぞれに進化を遂げた薩摩焼と萩焼の名品が一堂に会します。

また、初日には萩焼の名工12代三輪休雪先生の特別記念講演も開催されるそうです。

演 題:「陶のロマン」
開催日時:4月20日(水) 
    午後2時会場 
    午後2時30分開演
会 場:鹿児島県歴史資料センター黎明館 2階講堂
入場料:無料

先代の11代三輪休雪氏は重要無形文化財保持者(人間国宝)でもあり、
貴重なお話を伺える機会となりそうです。

国立公園指定記念日

昨日のことになりますが、3月16日は『国立公園指定記念日』なのだそうです。
1934年3月16日、瀬戸内海・雲仙(現在の雲仙天草)・霧島(現在の霧島屋久)の3か所が
国立公園に指定され、この日に日本初の国立公園が誕生したのだそうです。

現在は全国に29の国立公園が指定されていますが、
日本初の国立公園の一つに指定された霧島屋久国立公園は
桜島を中心とした錦江湾地域が含まれているのをご存じでしょうか。
私たちがなにげなく見ている桜島や錦江湾は、日本を代表するすぐれた自然の風景地として
自然保護法という法律に基づいて指定されているのですね。

霧島屋久国立公園は『錦江湾地域』の他に
宮崎県と鹿児島県にまたがる『霧島地域』と南方海上の『屋久島地域』からなっています。
活動が活発になっている新燃岳や世界遺産に登録されている屋久島といった
多様な自然が見られる地域なのですね。

『国立公園指定記念日』という日があることを初めて知りましたが、
これを機会に全国の国立公園についてももっと知りたくなりました。

 国立公園ホームページ

ルールは守りましょう

出羽さんの錦江湾の写真をご覧になって
感動されたとのご感想をたくさんいただいています。

そして、その感動を多くの人に紹介したくなる気持ち、とてもよく分かります。
当館も多くの方に出羽さんの作品をご紹介したくて写真展を開催しているのですから。

でも、その気持ちが先走り、ルール違反をされている方がいらっしゃるのです…

写真展で展示している写真は全て出羽慎一さんの「作品」で、著作物です。
展示室内にも注意書きをしておりますが
作品を許可なく撮影することはできません。

しかし…
感動のあまり展示室で携帯電話をおもむろに取り出し
無断で撮影される方が、残念ながらたびたび見受けられます。

無断で絵画や写真などを携帯電話のカメラで撮影することは「複製品の無断作成」
ブログやHPに許可なく画像を掲載することは「著作物の無断使用」となり、
両方とも「著作権の侵害」になります。
写真だけではなく、写真に書き添えた解説文も無断使用をしてはいけません。

そういう違法行為をせずに自宅でも出羽さんの作品を楽しめるよう
ポストカードや写文集があるんですね。

ちなみに、著作物を無断で使用すると、
10年以下の懲役または1000万円以下の罰金となります。
法人などが著作権等を侵害した場合は3億円以下の罰金となります。

さらに、著作権は著作者の没後50年間保護されていますので、
著作権侵害にならないようくれぐれも気をつけましょう。

著作権について詳しい事はこちら

鹿児島湾(錦江湾)のイクメン

近頃、イクメンと呼ばれる育児に積極的に参加する男性が増えてきているらしいですね。

実は、錦江湾にも育児をするオスの魚たちがいるんです。
中でも大変珍しい子育てをするのが「マダラギンポ」

このマダラギンポは体調が5cmほどの、手の小指くらいの小さなの魚です。
メスが産んだ卵に、孵化するまで胸びれを仰いで新鮮な海水を送り続け
なんと孵化した子供たち(仔魚)を口に含み
外敵のいないタイミングを見計らって放出してあげるのだそうです。

巣の外には、この仔魚やお父さんマダラギンポを狙って大きな魚が待ち構えているので
命がけの子育てですね。

このように仔魚を口に含んで放出してあげる子育てをする魚は
錦江湾で初めて発見されたそうです。
しかも発見したのは鹿児島大学の学生さんとか!

写真展ではお父さんギンポが子供たちを放出した瞬間の写真をご覧いただけます。
また、その瞬間の映像も併せて放映しておりますので
ぜひ貴重な子育ての瞬間をご覧ください。

2008年にはNHKの「ダーウィンが来た!」でも紹されました。「ウラ日記」では撮影クルーをガイドされた出羽さんも登場してますよ。

余談ですが
以前のギャラリートークで、マダラギンポとはまた違った珍しい方法で
子育てをする魚「コスジイシモチ」のお話をして下さいました。
それは衝撃的な内容でした…。

興味のある方は会場で出羽さんに訪ねてみて下さいね。
今回写真の展示はしていませんが、出羽さんの写文集「桜島の海へ」でご覧いただけますよ。

 

第3回ギャラリートーク

本日は、第3回目の出羽慎一さんによるギャラリートークが開催されました。
今回も県外、県内各地からたくさんのお客様がご来館くださいました。
誠にありがとうございました。

ご来館下さるお客様はダイビングをしていらっしゃる方、写真を熱心にされている方、
錦江湾の生態系に強く興味をお持ちになった方、さまざまな視点からお越し下さっているようです。

その中でも今日は、『イルカが大好き!!』という小学生の男の子が遠方からご来館くださいました。
学校で行われた出羽さんの講演会を聴いてから、出羽さんが憧れの存在とのことで
いざ出羽さんに話しかけられると恥ずかしくて照れてしまったようでした。
それでも大好きなイルカが錦江湾で暮らしていること、
そのイルカたちを見ることができるタイミングなどを教えてもらって満面の笑みでした。
お母さんにおねだりしたポストカードは、もちろんイルカのショットが入っている『Bセット』!
同じショットが載っているチラシも大切に胸に抱えていてくれました。

いつかこの男の子が出羽さんのように、
錦江湾で大好きなイルカたちと泳ぐ日が来てくれるのが楽しみになった一日でした。

撮影秘話

昨日は撮影の際に使用する撮影機材と潜水機材をご紹介しました。

出羽さんがこれらの機材で撮影する被写体は小さな生き物が多く
中には体長5mmなど1cmにも満たない生き物もいます。
そんな小さな生き物を、カメラの画角いっぱいに撮影するには
被写体にぐっと寄らなければなりません。

今回の写真展に展示している作品は
ほとんどが被写体から20cm以内に寄って撮影しているのだそうです。
確かに、どの作品からも生き物の表情まで見てとれます。

ガラスハゼ 
全長 4センチ 
水深 40メートル

 

 

 

 

 

しかし、野生の生き物なのに、どうして人間が近づいても逃げないのでしょうか?

実は出羽さん、撮影に至るまでに大変な労力を費やしていらっしゃるそうなんです。

先ずは被写体になる個体を決め、
その個体に毎日会いに行き
人間が近づいても逃げなくなるまで慣れさせる。
その次はフラッシュの光に慣れさせる。
そして、ようやく撮影ができるようになるのだそうです。

その間、数カ月。

カメラを持って、潜って、はい撮影。
と簡単にはいかないのですね。

作品の背景を知り、改めて作品を眺めると
生き物たちから送られてくるメッセージに重みを感じます。

ご紹介した撮影秘話はごく一部。
もっと色んな撮影秘話や作品解説はギャラリートークで聞くことができます。

会期中、あと2回開催いたしますますので
興味のある方はぜひご参加ください。

ギャラリートーク 3月 5日(土)    14:00〜
         3月26日(土・最終回)14:00〜

 

潜水機材と撮影機材

「水中写真」ってどのようなカメラで撮影されているかごぞんじですか?

実は水中で撮影するカメラは水中専用のものがあるわけではなく
私たちが地上で使っているカメラに
‘ハウジング’という機材をカバーのように被せて使用するのです。

デジタルカメラでもフィルムカメラでもハウジングを被せれば水中で使用できます。

今回の写真展では、出羽さんが実際に使用されている
マクロ用とフィッシュアイ用のハウジングをお借りして展示しています。

出羽さんは水深の深いところでも撮影されるので
使用されているハウジングは水深80mまでの耐圧構造でとても重たいです。
マクロ用で8キロ、フィッシュアイ用で9キロです!

さらに、潜水機材もお借りして一緒に展示しておりますが、これがまた重たい。

総重量45キロ!

出羽さんは、ヒョイといとも簡単に運ばれるのですが、
私たちは展示の際、台車に乗せて移動させていただきました。

この装備で水深50mに20分いた後、
減圧も含め3時間ほど水中に滞在できるのだそうです。

 

潜水機材(総重量約45キロ)
  
 メインタンク    
 サブタンク   
 減圧用純酸素タンク   
 BCジャケット   
 レギュレーター   
 ゲージ(残圧計、コンパス)
 ダイブコンピューター
 (水深と潜水時間、
  体に溶け込む窒素を計算)

 

 

 

水中ではフィルム交換(出羽さんはフィルムカメラを使用)やレンズ交換ができないので
カメラを数台持って潜られるのだとか。
水中では浮力があるとはいえ、水中に持っていくまでの地上での総重量を考えると
私にはその時点でギブアップですね…。

撮影機材  
マクロ
 (生物の接写用)
カメラ:ニコンF4
レンズ:カールツァイス
マクロプラナー
100mmF2ZF

 総重量8キロ

 

 

撮影機材
 
ワイド
(景観などの撮影)
カメラ:ニコンF4
レンズ:Aiフィッシュアイ
ニッコール
16mmF2.8S
 
総重量 9キロ

錦江湾内の国指定特別天然記念物(メヒルギの北限地)


【 指 定 】国指定特別天然記念物「喜入のリュウキュウコウガイ産地」
【 撮影日 】平成23年2月21日
【撮影場所】鹿児島市喜入町生見

今回の写真展では錦江湾の水中の多種多様な生き物をご紹介しておりますが
錦江湾の沿岸には国指定の天然記念物が自生していることをご存知でしょうか。
「喜入のメヒルギ」と聞くと、ピンとくる方もいらっしゃるかもしれませんね。

メヒルギとは、私たちがマングローブで馴染みのある
泥土に根を張って森林を構成している、あの植物です。
果実の形が琉球のかんざし(笄)に似ていることから
「琉球笄(こうがい)」とも呼ばれているそうです。

そして、鹿児島市の南部、石油備蓄基地で有名な喜入町生見(ぬくみ)は
このメヒルギが自生する北限地になります。
東南アジアや奄美で見るメヒルギは、大きくて‘森林’という言葉がしっくりきますが
喜入のメヒルギは北限というだけあって2mほどの小振りです。

泥土で波の穏やかなところに森林を形成していくメヒルギ。
ここを通勤で毎日通っている方によると
年々メヒルギの数が減ってきているとか。
自生し辛い環境になってきているのでしょうか…。

一方、錦江湾は水深5m以内の浅瀬に海水の浄化作用があるそうですが
75%がすでに埋め立てられ、残っている25%の一部に現在人工島を建設中です。
このままでは潮の流れも変わるでしょうし、
ますます湾内の地形が変わっていくでしょう。
錦江湾の水質浄化作用やメヒルギの自生に影響はないのか心配です。

国道226号線を指宿方面に南下すると
錦江湾側にメヒルギ自生北限の地の看板が出ています。
昨年の2月には立派な観察ゾーンも設置されました。
ちょっとした休憩に立ち寄ってみてください。