絵の衣替え

展示中の「赤い桜島」「青い桜島」(前畑省三 作)の衣替え(額装交換)のため
額装職人の中徳氏に新しく額縁を作って頂きました。

実は、今まで入っていた額装は‘仮縁’といって
取りあえず入れておく簡易的な額縁でした。

最近では額装に入れないことを前提とした作品や
あえてキャンバスを壁に直に掛ける展示方法がとられたりしています。
作品の雰囲気を壊さないし、軽いし、経費も抑えられ、それなりの利点も多いのですが
当館では全作品 額に入れています。

それは、額装することで作品保護になるからです。
外気に直接触れることからの保護、紫外線からの保護、
観覧者からの保護(間違って作品にぶつかったり、作品に向かってくしゃみなどを
してしまった場合、直接作品に害が及ばないように)
経年による歪み等からの保護、等々です。

しかし、この額縁が自己主張しすぎて作品の雰囲気に影響してしまっては本末転倒。
あくまでも縁の下の力持ちでなくてはなりません。

そのさじ加減を上手に図って、作品に見合った
あるいは作品をより引き立てる額を作って下さるのが〔空間装飾〕の中徳氏です。

例えば、今展示している「地層 合」(前畑省三 作)はシラス地層を描いた作品です。

この作品の額装は一見何の変哲もない黒いシンプルが額装ですが
よーく見ると作品との間に隙間があり、作品が少し浮き出て見えます。

まさに地層剥ぎ取り標本のようです!

抽象的に地層を描いた作品を地層剥ぎ取り標本のごとく額装することで、
見る側にそのテーマが明確に伝わってきます。

芸術の秋、県内でも様々な企画展が開催されています。
作品鑑賞の際、額装にもちょっと目を向けてみてはいかがでしょう?
中には作家が自分で作った額装もあるんですよ。

 

「赤、青、黒」の「青」

このたびの企画展で「青」のシリーズとして海老原喜之助のエビハラ・ブルー シリーズを5点展示しています。

このエビハラ・ブルー シリーズとは… ?1923年、フランスへ渡った海老原喜之助は藤田嗣治を訪ねます。当時、藤田は白の下地に墨線で描いた画面「グラン・フォン・ブラン(すばらしく深い白地)」によってパリ画壇で高い評価を受けていました。白地と墨による繊細な線描という日本の伝統絵画の要素を油彩画に活かした技法で「日本人」としての自己確立を異国の地で確かなものにしていました。その影響を受けた海老原は、別の方法による日本的なものでパリ画壇に挑戦を試みました。思考錯誤の末、白と青(ブルー)で東洋水墨山水画の情緒を織り込み、筆墨の強弱で表現する水墨技法を取り入れ「日本」を西洋絵画に同化させる表現に辿り着いたのです。これが エビハラ・ブルー シリーズ です。1933年、海老原は世界恐慌のあおりを受け10年間のパリ生活を切り上げ帰国しましたが、帰国後はエビハラ・ブルーの作品を描くことはありませんでした。

「鹿児島の洋画の系譜」「視点」

休みの日、時間が許せばできるだけ他館へ足を運ぶようにしています。

昨日は「田中一村」展の感想を書きましたが、実は同じ日に、黎明館で開催中の

「鹿児島の洋画の系譜」展

同じく黎明館で開催中の写真展「視点」

に行って来ました。洋画の系譜展のほうは5カ月も前から開催されているのに、いずれいずれと思いながら会期末になってしまいました…。でも、間にあってよかったです。鹿児島の洋画の礎を築き、発展させていった画家たちが、時系列に沿って作品と併せて師弟関係、交友関係も紹介されているので、鹿児島洋画史を大変分かりやすく勉強させていただきました。

また、黎明館2階で開催されている写真展「視点」はJRP日本リアリズム写真集団の公募展で受賞、入選した方の写真展です。10月9日(土曜日)には審査をされた英伸三(はなぶさしんぞう)先生の作品講評があるそうです。

田中一村展

昨日は当館の休館日。

早速、鹿児島市立美術館で開催中の「田中一村 新たなる全貌」展へ行ってきました。一度は奄美の田中一村記念美術館へいってみたいとは思いつつ、そう簡単には足を運べないのが現状なので鹿児島市内でこれだけの田中一村の作品群を観ることができると知ったときから心待ちにしていました。

田中一村は鹿児島ではある程度の知名度がありますが、奄美大島で奄美の自然を描いた孤高の画家、というイメージ以上のことは意外と知られていないかもしれません。今回の一村展では、学術調査に基づいた初めての本格的な作品展というだけあり、少時代の作品から中央画壇に認められたく試行錯誤した痕跡の残る作品、奄美での作品群など多角的な資料から、田中一村という一画家の画業を掘り下げていました。

 

かなり見ごたえのある企画展でした。会期中、もう一回行けたらいいなぁ。それからやっぱり、奄美の作品群は奄美で見てみたいなぁ。

「赤、青、黒」展

朝夕とすっかり涼しくなり、空もどんよりとした今日この頃。
あの肌を刺すような日差しは、あっという間にいなくなってしまいました。
季節は移ろいで、いよいよ芸術の秋。
当館の秋の企画は、色をテーマに作品を展示してみました。

‘色’には私たちが無意識に抱くイメージを持っています。
「赤」は情熱、生命。
「青」は爽やか、冷静。
「黒」は孤独、重厚などです。
今回の企画では、赤、青、黒それぞれが作品構成の大部分を占めている作品を選んで展示しています。
中間冊夫は人物を「赤」と「黒」で描き分けました。
また前畑省三の桜島は「赤」で描かれたもの、「青」で描かれたものがあります。
モチーフが同じでも色を変えることによって、作家たちはそれぞれどのようなメッセージを伝えようとしているのでしょうか・・・。

◇展示作品◇
中間冊夫「赤い人物」「黒い人物」 前畑省三「青い桜島」「赤い桜島」
海老原喜之助 (エビハラブルーシリーズ)
「雪中行軍」「スケート」「雪景」「皎月」他

 

ヤブラン

今、道路から美術館入口にかけてのアプローチに
たくさんの‘ヤブラン’が咲いています。

紫色の可愛い花たちに
落ち葉の掃除をしながら癒されている今日この頃。

秋の足音

朝夕とすっかり涼しくなりました。

秋の足音が聞こえる間もなく、あっという間の秋模様。開館前と閉館後には、落ち葉掃除も始まりました。

先日まで丸々と太ったメタボ青虫がいた木の葉も徐々に色付いてきています。(冬仕度は間にあったかしら?)

さて、芸術の秋。9月30日(木)から 『 赤・青・黒 』 と題し赤をメインに、青をメインに、黒をメインに描かれた作品を展示いたします。

「色」で作家は何を表現しているのでしょうか?なぜこの色で描いたのでしょうか?色の妙をお楽しみください。

おひとりさま

先週KKBの KINGSPE で女性がおひとり様でも過ごせるスポットとして
当館1階のカフェトワメゾンをご紹介いただきました。

そのせいでしょうか、最近若い女性のお客様がぐっと増えました。

週末はカップルも多くなりましたね。

当館は住宅街の中に在り、ちょっとアクセスが難しいこともあって
隠れ家的なカフェとなっているのようで
もともと‘おひとりさま’が多いカフェです。

美術館自体も来館者が多い方ではないので
美術館をじっくりご覧になった後
コーヒーを飲みながらゆっくり過ごされていかれる方が多いですね。

そろそろ残暑も一段落するころです。
ゆっくりとした時間と空間で、夏の疲れをリセットしてみませんか?

メロンパンフェア

9月というのに、一向に涼しくなりませんね。

さて、当館1階のベーカリー・トワメゾンからのご案内です。

本日9月9日〜12日まで、メロンパンフェアを開催しています。朝一番でのぞいてみるといろんな種類のメロンパンが並んでいて、とても可愛く美味しそうでした☆

中でもお薦めが‘ビッグメロンパン’通常の5倍くらいの大きさなのですが大味ではなく、中もしっとり。一人で1個いけちゃいます♪

高倉の燻蒸

本日、鹿児島大学総合研究博物館で奄美の高倉の燻蒸作業を行うということなので、見学させていただきました。

燻蒸(くんじょう)とは、煙で燻して害虫の駆除をすることです。この鹿児島大学正門そばに展示されている「奄美の高倉」とは、明治16(1883)年に鹿児島県大島郡大和村恩勝に創建され、昭和34(1959)年に鹿児島県立博物館に寄贈されたものです。長く屋外展示として活用されていましたが、平成13(2001)年に不慮の火災により損傷を受け、その後鹿児島大学工学部建築学科によって、現在の場所に再建されました。(鹿児島大学総合研究博物館HPより)

当館は屋外展示物というものがないので、建造物の燻蒸は初めての体験でした。てっきり、何かバルサンのような薬品を含んだ材木などを燃して燻蒸するのだと思っていたのですが、普通の木材(建築資材などは薬品などが含まれているから不可だそう)を燃して、煙を茅葺屋根に充満させて駆除するんですね。薬品を使用せず、純粋に煙だけで燻蒸とは意外でした。考えてみたら、昔は茅葺屋根の家には囲炉裏があって、日常生活で燻蒸されるようになっていたんですね。現在はこうして定期的に人為的に燻蒸しなければならないから大変です。

暑い中貴重な体験をさせていただきました。