唐カラ船

【開催地】南さつま市坊津町泊地区公民館九玉神社
【開催日】毎年5月5日

毎年5月5日に坊津の泊地区で行われる「唐カラ船」を見に行きました。

子供の健やかな成長を願うお祭りで
稚児たちが新聞紙の兜をかぶり、車輪と猿の子を付けた唐船を引いて
泊公民館から九玉神社まで歩きます。

子供たちが小さいのと、人数が少ないせいでしょうか、
掛け声はテープで流していました。
(掛け声は「豊漁」を方言で言っていましたが、何と言っていたか忘れてしまいました…)

小中学生のお兄ちゃんたちが引くのは、もっと大きな唐船です。

神社に着くと稚児たちはお祓いをしていただき
女の子たちはお祓いが終わるのを待って奴踊りを奉納します。

女の子は唐カラ船を引いた男の子の後ろを歩いて神社まで行きますが、
その前を三味線と太鼓の道行囃子と笹を持った女性たちが歩いています。
この笹は「魔よけ」のために持っているそうです。

奴踊りが終わると、稚児たちは境内で唐カラ船を引いて競争です。
その後、浜へ下りてもう一度奴踊りの奉納と稚児の競争が行われます。

最後は海から投げられる紅白餅を頂いて終了です。

唐カラ船は親が子に作ってあげるもので
前はどの家庭にもあったそうですが、
今ではこの船を作れる方は1人しかいらっしゃらないそうです。

南さつまは他にも十五夜火とぼし、よっかぶい、水車からくり、上之坊の十五夜など
国の重要文化財に指定されている伝統行事が沢山あります。
詳しくは坊津歴史資料センター輝津館(きしんかん)で紹介されています。

これも鹿児島の名所です

ただ今当館で開催中の「描かれた鹿児島の名所」展では
鹿児島のシンボル桜島や風光明媚な観光地、
昭和初期の漁村風景など様々な鹿児島の名所を描いた作品を展示しています。

中にはこのような作品も。

これは前畑省三氏の地層シリーズです。
左の白っぽい作品「地層 合」は鹿児島のシラス層を描いています。
右の赤っぽい作品「地層 D」は「赤ホヤ層」を描いたものです。

鹿児島の名所とよぶには少々マニアックかもしれませんが
でも、これらの地層は鹿児島ならではの地層なんです。

シラス層はおなじみの地層ですね。
このシラス層、実は2万9000年前の姶良カルデラによる噴出物(入戸火砕流)の堆積物です。
長い年月をかけて桜島の降灰が少しづつ積もった地層ではないのですね。

もうひとつの「赤ホヤ層」。
これは7300年前の鬼界カルデラの大噴火による噴出です。
この時の噴出物は気流に乗って日本全国に渡って降り積もり
現在は考古学において年代指標となっている地層です。

前畑氏の作品は作家の目を通した表現なので
実際の地層を写実的に描いているわけではありませんが
作品を前にすると、地層の背景にある自然の脅威や時間の重みがしっかりと伝わってきます。

余談ですが…
当館から車で3分ほどの場所に
8000万年前の四万十累層群と阿多火砕流の堆積層が見られるようになっています。

谷山インターから伊作峠に向かって車で1分もかからない、右手側にあります。

とても巨大なのですぐに分かりますよ。
お近くへお越しの方はぜひ足を延ばしてみて下さい。

← この看板が目印です

花筏と花筵

この数日の風で、当館駐車場に咲いている桜『御衣黄』も散り始めてしまいました。
美術館の玄関先には散った御衣黄が舞い、噴水の水面にもたくさん漂っています。

眺めている分には、そんな姿も非常にきれいなのですが、
お客様や施設をご利用の方々が行き交う場所でもあり、お掃除をしなければなりません。
しかし、今朝の風は少々強く、ほうきで掃くそばから次々と桜が散ってきます。
噴水の循環口に溜まった花も、水を詰まらせてはならない為に取り除かなければなりません。

少し億劫になりがちなお掃除ですが、桜の花だと優雅な気持ちで出来るから不思議です。

散った桜が水面に浮かび流れて行くのを筏に見立てていうことば『花筏(はないかだ)』。
花の散り敷いたさまを筵にたとえていうことば『花筵(はなむしろ)』。

排水口に溜まった桜を取り除き、駐車場に散った桜を掃き集める度に
『花筏』と『花筵』という言葉を想い描きながら過ごす一日です。

夜桜ディナー

今、美術館とカフェの桜が見ごろを迎えています。
そして、夜は21時までライトアップもされているんです。

カフェでは夜桜を愛でながらでDinnerをいただくこともできるんですよ。
タイミングがあえば、ソメイヨシノと御衣黄桜の両方が楽しめます。

当館1階のカフェトワメゾンは、
予約をすればどなたでもDinnerをご利用いただけます。

店長は以前、大阪やサンロイヤルホテルのシェフとして腕を振っていたので
フレンチやイタリアンの本格的コース料理はお手の物!
とても美味しく、しかもリーズナブル。

さらに、知る人ぞ知るスポットなので
クリスマスシーズン以外はほぼ間違いなく貸切です。

夜桜を見ながら、ゆっくりとDinnerはいかがですか?

「沈家伝世品収蔵庫」再開館記念

薩摩焼の名門、沈壽官窯より「沈家伝世品収蔵庫」のリニューアルを記念した
講演会のご案内を頂戴致しました。
NHK教育テレビ「日曜美術館」の司会を務められている、
姜尚中氏をお招きしての講演会を開催されるそうです。

【沈家伝世品収蔵庫開館記念講演会】
日時  平成23年4月17日(日) 午後2時より(受付 午後1時より)
会場  日置市立美山小学校体育館
講師  NHK日曜美術館 司会者 姜尚中氏
入場料・詳細についてはこちら

【沈家伝世品収蔵庫オープニングカット】
日時  午後3時半より
場所  沈壽官窯内 伝世品収蔵庫

新緑の眩しいこの季節に美しい美山の里で姜尚中氏のお話を聴き、歴代の作品を鑑賞する…
とても贅沢な時間が過ごせそうですね。

祁答院町藺牟田地区「田の神戻し」

【開催日】平成23年4月10日
【開催地】薩摩川内市祁答院町藺牟田地区

祁答院町藺牟田地区で行われた田の神講(田の神戻し)を見学してきました。
田の神講は、田の神さぁの年に1度の引越しです。
田の神さぁは五穀豊穣だけではなく子孫繁栄の神様でもあるので
(田の神さぁの後ろ姿を見るとよく分かります)
その集落の新婚家庭に宿を移していくのだそうです。


出発前に綺麗にお化粧を施してもらい
青竹で編んだ籠に乗り


季節の花で籠を飾ってもらい、準備完了です。


顔にヘグロ(すす)を塗って田の神さぁに扮した青二才(青年)たちが


講宿さん(田の神さぁの宿主さん)のお宅の庭で
鐘とホラ貝の音に合わせて舞を舞い、


そして…
観客に容赦なくヘグロを塗ります!


このヘグロを塗られると
1年間無病息災で過ごせるそうです。

その後も場所を変えて同じく舞を舞い、観客にヘグロを塗ってまわります。


集落を回る際、小豆入りのお餅(写真右)をワラつと(写真左)に入れて
田の神さぁの乗る籠にぶら下げ
竹筒には焼酎を入れて、まわる先様に差し上げるのだそうです。

最後に今年の講宿さんのお宅へ無事にお引っ越しとなります。

毎年4月10日に開催されるそうなので、興味のある方はぜひ見学に行ってみて下さいね。

ちなみに…
これは当館前の辻の堂後公民館に鎮座している当地区の田の神さぁです。

御衣黄 咲きました。

満開だったソメイヨシノは先日の雨で散り始めましたが、
当館駐車場に植えてあるもう一種の桜『御衣黄(ぎょいこう)』が花を開きました。

一見、若葉かと思うような瑞々しい薄黄緑色の八重桜です。
日が経つにごとに薄黄緑色の花弁が濃いピンクに染まり、
一番美しい姿になると花冠ごと地に落ちて散ります。
その頃の木の下はピンクの花のじゅうたんを敷き詰めたように美しいのです。

薄黄緑色の瑞々しい姿からピンクの可憐な姿へと変わり、散った姿もなお美しい。
多様な顔を見せてくれるとても珍しい品種の桜です。

良いお天気も相まって、今朝は早くからお散歩中のご近所の方や
近隣施設にみえる方々が御衣黄の姿を写真に撮っていらっしゃいます。

美術館にお越しの際は、是非こちらもご覧になってお帰り下さいね。

白貝

写真のお菓子は谷山銘菓「白貝最中」です。

当館が所在している谷山は昭和40年頃まで砂浜が広がっていました。
ちょうど今頃の時期になると砂浜で「白貝」が沢山採れていたそうです。
その「白貝」を模して作られたのが白貝最中です。

それにしても、
「白貝」って聞きなれない名前です。
谷山でそんなに採れていたなら
今でもどこかで採れたり
食卓に上がっていてもおかしくないはず。

この最中のモデルになった白貝を食べてみたい!
そう思ってここ1年、
スーパーや鮮魚店で白っぽい貝を探しましたが
白貝という貝を見つけることができませんでした。

きっと昔から白貝は採れたはずたから
谷山の草野貝塚から白貝が出土しているかも、
「ふるさと考古歴史館」に探しに行ったこともありました。

それでも「白貝」は見つからなかったので
白貝最中を作っている小迎菓子店の奥さんに
白貝を扱っている鮮魚店を紹介して頂き、
先日ついに念願の白貝を食することができました!

これが白貝です。

なんと、バカ貝(青柳)のことでした。
確かに草野貝塚からは沢山バカ貝の貝殻が出土していました。

ちなみに、後日スーパーで「舌貝」という名前で売られているのを見かけました。
火を通すと長い舌が出てくるからでしょうか。

最中の白貝は、ご主人が丹精込めて練り上げた3種類の餡があって
とっても美味ですよ。

追記(2013.10.17)
 残念ながら谷山の区画整理に伴い,小迎菓子店は閉店となりました。
 

描かれた鹿児島の名所展

次の企画展は、新幹線開通ということで篤姫以来、再び鹿児島が脚光を浴びていることから、鹿児島の名所を描いた作品を展示いたします。桜島、霧島、指宿、磯庭園をはじめとする有名どころから、奄美の漁村風景や野間池、加世田の小湊など知る人ぞ知る風景、またシラスや赤ホヤ層など鹿児島ならではの地層を描いた作品などさまざまな作家の目線から鹿児島の名所をお楽しみいただけます。4月1日(金)までは、展示替えと年度末の館内整理につき休館いたします。

第4回ギャラリートーク

出羽慎一さんによるギャラリートークも本日で第4回を迎え、最後の回となりました。本日もたくさんのお客様にご来館いただき誠にありがとうございました。

最終の回とあって、本日は特に県外からのお客様が多くお越し下さいました。ギャラリートーク後は、出羽さんとゆっくりお話ができるとあって皆さんそれぞれ楽しい時間をお過ごし頂けたご様子でした。出羽さんの作品の魅力はもちろんですが、ご自身のお人柄や姿勢が多くの人を引き付け、作品にも表れているのではないか、と改めて感じた一日でした。

『桜島 海底に流れる時間』も残すところ明日の一日になりました。終了してしまうのは名残惜しいですが、あと一日、鹿児島湾の世界を満喫したいと思います。

ギャラリートーク