「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」コラム④

【風景画にもご注目】
中間冊夫「道」
1983年 第51回独立展
※正面ホールにて常設展示しています

人物をモチーフとした作品の印象が強い作家ですが、晩年は沖縄の風景を題材とした作品を描いています。

1982年、中間は前畑省三、荒木絢子(ともに独立美術協会会員)らと沖縄へスケッチ旅行に出かけ、世界遺産として知られる今帰仁(なきじん)城跡や石垣島等を訪れました。
本作では、バス通りから今帰仁城跡へ歩いてむかう道が描かれています。画面右下から延びる道ははるか遠くへと続き、その上方には赤々と燃える夕日が見えます。

道の脇には実風景には見られない亀甲墓が描かれ、また仏教の教えの中でしばしば極楽浄土のイメージと結びつけられる、夕日の浮かぶ空が画面の大半を占めるなど、この世とあの世のイメージが交差する作品となっています。

中間が晩年関心を寄せていた哲学的なテーマと、沖縄独特の風景がみごとに融合した作品です。

「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」コラム③

【山が好き!】

山の春の美しさを「人間の一生を左右するくらい」見事だと語り
(中間冊夫「八ケ岳山麓の湯」(『温泉』・第19巻第4号・1951年)、
八ヶ岳や大山など各地の山々をスケッチしていた中間。
桜島、高千穂峰と県内各地の山も描いていますが、晩年のお気に入りは開聞岳でした。

旧制川辺中学校(現:川辺高校)時代、週に1回寄宿舎から自宅に帰る道中に小さく見えていた開聞岳は、思い出の山ではありましたが、長らく山の近くに行く機会がなかったそうです。

70歳を過ぎた頃の初春、開聞町のそうめん流しに出かけたところ、菜の花畑の向こうに姿を現した開聞岳にいたく感銘を受け、以来帰郷のたびにスケッチに出かけるようになりました。

ちなみに、桜島もモチーフとしての面白さを認めているものの、前景に建物が入らない点で開聞岳がより好きだと語っています。(南日本新聞1982年7月15日朝刊)
また、桜島を描いた油彩画を加世田市(現・南さつま市)に寄贈しており、当館所蔵のスケッチ(2枚目画像)はその下書きであると思われます。

前期展示(※終了しました)では桜島、後期展示では開聞岳のスケッチを展示しています。
皆さんはどちらの山が好きですか?

3月の開館スケジュール

当館は3月2日(火曜日)から19日(木曜日)まで
館内メンテナンスや展示替え等で臨時休館いたします。
カフェも同じ期間お休みになります。

3月20日(金曜日・祝)からは三宅美術館コレクション展を開催します。
近代作家の作品が中心の当館ですが、本展では現役で活躍中の作家さんの作品を展示いたしますのでお楽しみに!

収蔵品データベースを公開しています

当館収蔵品の一部を、下記ポータルサイトにて閲覧できるようになりました。
作品画像および情報を掲載しています。
この機会にぜひご覧ください。

①文化遺産オンライン(https://bunka.nii.ac.jp)

・三宅美術館の所蔵収蔵作品はこちらから(138点)

②ジャパンサーチ(https://jpsearch.go.jp/)

・三宅美術館の所蔵収蔵作品はこちらから(90点)

「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」コラム②

「うづくまる」
1973年 油彩・キャンバス

1970年代から晩年にかけて、中間は座る、あるいは横たわるポーズの人物をモチーフとした「うづくまる」というタイトルの作品を毎年のように描くようになります。
本作品は縦53.0㎝・横45.5㎝とわりあい小さいサイズでありがら、伏目かちにこちらをみつめるモデルの、やや緊張気味な様子やナイーブな内面を慎重な筆致で描き出した、シリーズの中でも光るものをもつ作品です。

「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」コラム①

企画展「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」をよりお楽しみいただくために、現在インスタグラムおよびフェイスブックにて、中間冊夫に関する情報を発信しています。
本日より、「美術館だより」でもご紹介いたします。

第1回でご紹介しますのは、代表作「歩く人」です。

「歩く人」/ 中間冊夫
1957年 油彩・キャンバス

風を切ってやや前のめりに歩みを進める人物が、鮮やかな色彩と力強い筆致によって描かれています。
武蔵野美術大学の講師に就任した直後に制作された作品です。

このころ、中間の画風は抽象と具象のあいだで模索段階にあったいいます。
従来は人物を落ち着いた色彩と大らかな筆致によって、どちらかというと写実的に描いていましたが、1950年代半ばから背景に絵具を厚く盛り上げた線の重なりが現れるようになり、また人物描写の単純化が進みました。

本作品の人物もシルエット以外の描写はなく至って単純化されていますが、溶岩が湧き上がるように厚く盛られた人物部分のマチエールから人物の意気揚々とした様子が伝わってきます。
また、背景の原色の線の重なりからは、未来に期待する思いが伝わってくるようです。

新たな制作スタイルを確立しようとする中間自身の姿と重なるものを感じさせる作品です。

通常開館いたします

今朝の鹿児島は1年振りの銀世界ですが、
本日も通常通り開館いたします。
足下に気を付けてお越し下さい。
(なお、カフェは休業日となっております)

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