「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」コラム⑤

「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」は本日最終日です。
ご関心のある方、また見納めをしたいとう方のお越しを是非お待ちしております。

さて、今回は中間の画風の変遷に関するコラムです。

「二つの顔」
油彩・キャンバス 1959年
第27回独立展 

中間冊夫は生涯を通じて具象画を描きましたが、「歩く人」を描いた
1950年代後半から1960年代前半にかけては具象画と抽象画の間で模索を行っていました。

当時国内外で抽象美術が注目を集めており、中間自身も
「自分ではどんどん変わって抽象性が強く出て来そうです。
だが具象としてのフォルムというものに魅力をもっているんです。
それをどういうふうに画面にして行くかと自分で求めてゆくことが私の課題です。」※と述べています。

この時期は、人体から連想したイメージを抽象化して表現していました。
「二つの顔」は、どこが顔の部分なのか判然としませんが、
黄色に輝く分厚いマチエールの中心に鎮座する“顔”が強い存在感を放っています。

※…『武蔵野美術』「アトリエ閑談」№25、武蔵野美術大学出版編集室、1957年10月

「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」コラム②

「うづくまる」
1973年 油彩・キャンバス

1970年代から晩年にかけて、中間は座る、あるいは横たわるポーズの人物をモチーフとした「うづくまる」というタイトルの作品を毎年のように描くようになります。
本作品は縦53.0㎝・横45.5㎝とわりあい小さいサイズでありがら、伏目かちにこちらをみつめるモデルの、やや緊張気味な様子やナイーブな内面を慎重な筆致で描き出した、シリーズの中でも光るものをもつ作品です。

「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」コラム①

企画展「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」をよりお楽しみいただくために、現在インスタグラムおよびフェイスブックにて、中間冊夫に関する情報を発信しています。
本日より、「美術館だより」でもご紹介いたします。

第1回でご紹介しますのは、代表作「歩く人」です。

「歩く人」/ 中間冊夫
1957年 油彩・キャンバス

風を切ってやや前のめりに歩みを進める人物が、鮮やかな色彩と力強い筆致によって描かれています。
武蔵野美術大学の講師に就任した直後に制作された作品です。

このころ、中間の画風は抽象と具象のあいだで模索段階にあったいいます。
従来は人物を落ち着いた色彩と大らかな筆致によって、どちらかというと写実的に描いていましたが、1950年代半ばから背景に絵具を厚く盛り上げた線の重なりが現れるようになり、また人物描写の単純化が進みました。

本作品の人物もシルエット以外の描写はなく至って単純化されていますが、溶岩が湧き上がるように厚く盛られた人物部分のマチエールから人物の意気揚々とした様子が伝わってきます。
また、背景の原色の線の重なりからは、未来に期待する思いが伝わってくるようです。

新たな制作スタイルを確立しようとする中間自身の姿と重なるものを感じさせる作品です。

「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」後期展示が始まりました

本日より、絵画展「没後40年 中間冊夫展 ヒューマニズムの軌跡」後期展示が始まりました(3月1日(日曜日)まで)

独立展にて第1回児島賞を受賞した「赤の人物」「黒の人物」を同時展示するほか、家族への愛情のにじむ作品、故郷の山・開聞岳を描いた作品等を新たに展示しています。

また焼物展「山口長男の焼物」では、日本の抽象絵画のパイオニアである山口長男による絵付作品を展示中です。

ともに独自の画境で知られる作家たちの作品を、ぜひお楽しみください。