次回ギャラリートークのお知らせ


「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展、第2回のギャラリートークは沈壽官窯の15代沈壽官氏です。
椋鳩十が著書『薩摩伝統工人伝』で紹介している陶工12代沈壽官氏の曾孫にあたります。
1987(慶応3)年のパリ万博、1873(明治6)年のウィーン万博で薩摩焼人気を不動のものとした12代沈壽官とはどのような人物だったのか。沈壽官窯の歴史と併せてたっぷりお話いただきます。

日時:1月20日(土)午後2時~
費用:入館料のみ
会場:三宅美術館1階展示室(お立ちいただいたままのギャラリートークとなります)
予約:不要

椋鳩十資料について

先日、朝日新聞の「この一品」でも紹介させていただいた、椋鳩十の「薩摩伝統工人伝」
取材ノートについて、ノートの中身を見てみたい、とご要望をいただきました。

残念ながら展示中の取材ノートは原本のため手に取ってご覧いただくことはできませんが、
姶良市の椋鳩十文学記念館では、取材ノートの複写版を自由にご覧いただけます。
その他、椋鳩十関連の資料を多数揃えていらっしゃいますので、ぜひ足を運んでみて下さい。

「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展は、テーマカラーを「赤」にしています。

ご覧のとおり印刷物も展示室も「赤」を基調にしています。

それは、椋鳩十の好んだ色が「赤」だったからです。(厳密にいうと茜色ですが)
自宅の書斎は、カーテンも赤いビロード、ソファも赤色。
晩年気に入っていた焼き物のひとつが、静岡県の森山焼き(別名赤焼き)だったそうです。
また、「夕焼けの赤」もお好きだったとのこと。

椋鳩十が好んだ「赤」を基調に行人たちの作品・資料を展示することで、
工人たちと椋鳩十の繋がりを表現してみました。

「春の常設展」から:「神女誕生」

開催中の「春の常設展」展示室の一番奥には
S100号(1辺162㎝の正方)のとても目を引く作品2点を展示しています。
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2点とも前畑省三の作品で
左が「神女誕生Ⅰ」(1981年作)

右が「神女誕生・パーントゥⅣ」(2001年作)になります。(作品解説→

1981年から2014年にかけて描かれた「神女誕生シリーズ」の初期と中期の作品です。
画面に吸いこまれそうな神秘的な雰囲気のあるこのシリーズは,
奄美から沖縄諸島にかけての信仰がテーマとなっています。(パーントゥ→

ロビーの吹き抜けには「いのちの誕生」シリーズの2014年作を展示しています。
併せてご覧ください。作品解説→
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なお、現在 奄美大島の田中一村記念美術館では
「前畑省三展(琉球弧の祈り~前畑省三「神女誕生」シリーズから~)」が開催されています。
5月15日(日)14:00~前畑省三氏による作品解説が開催されるそうです(参加無料)
解説を聴いて,奄美の文化と併せてご覧いただくと,作品からのメッセージがより伝わることでしょう。
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連携展示のご案内

この秋 鹿児島県内の美術館などでは
鹿児島県歴史資料センター黎明館で開催中の「近代かごしまの美術」
連携した展示を行っております。
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連携施設は当館をふくめた以下の10施設です。
1.鹿児島県歴史資料センター黎明館
2.鹿児島市立美術館
3.長島美術館
4.児玉美術館
5.陽山美術館
6.松下美術館
7.鹿児島大学付属図書館
8.鹿児島県美術協会(会場:山形屋)
9.山形屋
10.三宅美術館

ぜひ連携施設の企画展も併せてご覧ください。

佐川敏子展のご案内


佐川敏子「夏みかん」三宅美術館蔵

佐川敏子(1902〜1973)は独立美術協会の女性第一号会員であり
当館で開催中の「抽象的なかたち展」のポスターに掲載している作品の作家
中間冊夫の夫人でもあります。

明治35年東京に生まれ,東京女子大学から1930年協会洋画研究所に学び,
小島善太郎に師事しました。
昭和16年に女性初の独立美術協会会員となり,中間冊夫と公私共によきパートナーでした。

その佐川敏子の作品展が東京南青山の始弘画廊で開催されています。
このような機会はなかなかありませんので
ご都合の合う方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
また16日からは国立新美術館で佐川敏子や中間冊夫が所属していた
独立美術協会の独立展が開催されますので,併せてご覧いただくと面白いと思います。

第1回薩摩焼伝統工芸士会展

ただ今開催中の「歴代長太郎展」ですが
展示スペースの関係で,期間を3回に分けて展示替えを行います。

指宿長太郎 禮石氏の作品は
平成26年1月4日〜2月17日に展示となりますが
禮石氏の新作は現在山形屋画廊にて開催中の
第1回薩摩焼伝統工芸士会展にてご覧いただけます。

ぜひ足を運んでみて下さい。

錦江湾の色

「桜島 海底に流れる時間」展も残すところ1週間あまりとなりました。

さて、今日は錦江湾の海の色のお話です。

写真展のチラシに掲載している「ミナミハンドウイルカ」と「アカオビハナダイ」の写真。
同じ錦江湾なのに海の色が違うことに気が付きましたでしょうか。

ミナミハンドウイルカは「青」
アカオビハナダイは「緑」です。

海の色というと普通イルカの写真のような青をイメージしますよね。
でも、なぜアカオビハナダイの方は緑なのか…。

錦江湾は季節によって海の色が変わり
青色は冬の色、緑色は夏の色、なのだそうです。

夏になると植物性プランクトンが豊富に繁殖し
その葉緑体が日光に透けて見えるので夏は海の色が緑色になるそうです。
出羽さんはこの錦江湾の夏色を「錦江湾Green」と名付けています。

私たちの日常にある四季折々の色に、地元ならではの名前を付けたら、
季節の移ろいが楽しくなって素敵ですね。

鹿児島湾(錦江湾)のイクメン

近頃、イクメンと呼ばれる育児に積極的に参加する男性が増えてきているらしいですね。

実は、錦江湾にも育児をするオスの魚たちがいるんです。
中でも大変珍しい子育てをするのが「マダラギンポ」

このマダラギンポは体調が5cmほどの、手の小指くらいの小さなの魚です。
メスが産んだ卵に、孵化するまで胸びれを仰いで新鮮な海水を送り続け
なんと孵化した子供たち(仔魚)を口に含み
外敵のいないタイミングを見計らって放出してあげるのだそうです。

巣の外には、この仔魚やお父さんマダラギンポを狙って大きな魚が待ち構えているので
命がけの子育てですね。

このように仔魚を口に含んで放出してあげる子育てをする魚は
錦江湾で初めて発見されたそうです。
しかも発見したのは鹿児島大学の学生さんとか!

写真展ではお父さんギンポが子供たちを放出した瞬間の写真をご覧いただけます。
また、その瞬間の映像も併せて放映しておりますので
ぜひ貴重な子育ての瞬間をご覧ください。

2008年にはNHKの「ダーウィンが来た!」でも紹されました。「ウラ日記」では撮影クルーをガイドされた出羽さんも登場してますよ。

余談ですが
以前のギャラリートークで、マダラギンポとはまた違った珍しい方法で
子育てをする魚「コスジイシモチ」のお話をして下さいました。
それは衝撃的な内容でした…。

興味のある方は会場で出羽さんに訪ねてみて下さいね。
今回写真の展示はしていませんが、出羽さんの写文集「桜島の海へ」でご覧いただけますよ。