第3回ギャラリートーク

本日は、第3回目の出羽慎一さんによるギャラリートークが開催されました。
今回も県外、県内各地からたくさんのお客様がご来館くださいました。
誠にありがとうございました。

ご来館下さるお客様はダイビングをしていらっしゃる方、写真を熱心にされている方、
錦江湾の生態系に強く興味をお持ちになった方、さまざまな視点からお越し下さっているようです。

その中でも今日は、『イルカが大好き!!』という小学生の男の子が遠方からご来館くださいました。
学校で行われた出羽さんの講演会を聴いてから、出羽さんが憧れの存在とのことで
いざ出羽さんに話しかけられると恥ずかしくて照れてしまったようでした。
それでも大好きなイルカが錦江湾で暮らしていること、
そのイルカたちを見ることができるタイミングなどを教えてもらって満面の笑みでした。
お母さんにおねだりしたポストカードは、もちろんイルカのショットが入っている『Bセット』!
同じショットが載っているチラシも大切に胸に抱えていてくれました。

いつかこの男の子が出羽さんのように、
錦江湾で大好きなイルカたちと泳ぐ日が来てくれるのが楽しみになった一日でした。

撮影秘話

昨日は撮影の際に使用する撮影機材と潜水機材をご紹介しました。

出羽さんがこれらの機材で撮影する被写体は小さな生き物が多く
中には体長5mmなど1cmにも満たない生き物もいます。
そんな小さな生き物を、カメラの画角いっぱいに撮影するには
被写体にぐっと寄らなければなりません。

今回の写真展に展示している作品は
ほとんどが被写体から20cm以内に寄って撮影しているのだそうです。
確かに、どの作品からも生き物の表情まで見てとれます。

ガラスハゼ 
全長 4センチ 
水深 40メートル

 

 

 

 

 

しかし、野生の生き物なのに、どうして人間が近づいても逃げないのでしょうか?

実は出羽さん、撮影に至るまでに大変な労力を費やしていらっしゃるそうなんです。

先ずは被写体になる個体を決め、
その個体に毎日会いに行き
人間が近づいても逃げなくなるまで慣れさせる。
その次はフラッシュの光に慣れさせる。
そして、ようやく撮影ができるようになるのだそうです。

その間、数カ月。

カメラを持って、潜って、はい撮影。
と簡単にはいかないのですね。

作品の背景を知り、改めて作品を眺めると
生き物たちから送られてくるメッセージに重みを感じます。

ご紹介した撮影秘話はごく一部。
もっと色んな撮影秘話や作品解説はギャラリートークで聞くことができます。

会期中、あと2回開催いたしますますので
興味のある方はぜひご参加ください。

ギャラリートーク 3月 5日(土)    14:00〜
         3月26日(土・最終回)14:00〜

 

潜水機材と撮影機材

「水中写真」ってどのようなカメラで撮影されているかごぞんじですか?

実は水中で撮影するカメラは水中専用のものがあるわけではなく
私たちが地上で使っているカメラに
‘ハウジング’という機材をカバーのように被せて使用するのです。

デジタルカメラでもフィルムカメラでもハウジングを被せれば水中で使用できます。

今回の写真展では、出羽さんが実際に使用されている
マクロ用とフィッシュアイ用のハウジングをお借りして展示しています。

出羽さんは水深の深いところでも撮影されるので
使用されているハウジングは水深80mまでの耐圧構造でとても重たいです。
マクロ用で8キロ、フィッシュアイ用で9キロです!

さらに、潜水機材もお借りして一緒に展示しておりますが、これがまた重たい。

総重量45キロ!

出羽さんは、ヒョイといとも簡単に運ばれるのですが、
私たちは展示の際、台車に乗せて移動させていただきました。

この装備で水深50mに20分いた後、
減圧も含め3時間ほど水中に滞在できるのだそうです。

 

潜水機材(総重量約45キロ)
  
 メインタンク    
 サブタンク   
 減圧用純酸素タンク   
 BCジャケット   
 レギュレーター   
 ゲージ(残圧計、コンパス)
 ダイブコンピューター
 (水深と潜水時間、
  体に溶け込む窒素を計算)

 

 

 

水中ではフィルム交換(出羽さんはフィルムカメラを使用)やレンズ交換ができないので
カメラを数台持って潜られるのだとか。
水中では浮力があるとはいえ、水中に持っていくまでの地上での総重量を考えると
私にはその時点でギブアップですね…。

撮影機材  
マクロ
 (生物の接写用)
カメラ:ニコンF4
レンズ:カールツァイス
マクロプラナー
100mmF2ZF

 総重量8キロ

 

 

撮影機材
 
ワイド
(景観などの撮影)
カメラ:ニコンF4
レンズ:Aiフィッシュアイ
ニッコール
16mmF2.8S
 
総重量 9キロ

桜島共存ゆえの特殊能力?

新燃岳、桜島の噴火・降灰が続いておりますが
大隅半島に住む知人によると新燃岳と桜島の灰は匂いが違うのだそうです。
匂いを嗅ぐと、どちらの灰が降ってきたのか分かるのだとか。

さすが、火山と共存している県民です。
季節が移り夏になると、風向きはこちら(鹿児島市方面)へ向かってきます。
私も匂いでどちらの火山灰なのか区別できるようになるのでしょうか。

本日13時58分昭和火口からの噴火。
(美術館屋上から撮影)
 
さて、この火山灰
地上だけではなく錦江湾の海中まで降り注いでいるのだそうです。

ご存じのとおり、日本で初めて海の中の国立公園(海中公園)に
指定された一つが桜島海中公園で、そこにはサンゴが群生しています。

悲しい事に、昨年から活発化している桜島の噴火で珊瑚に灰が降り注ぎ、
呼吸や共生する植物性プランクトンの光合成が難しくなって
死んでしまう珊瑚もいるのだとか…。

しかし、その中でも「シコロサンゴ」という珊瑚は
自分で灰を払いのける能力に長けているそうで、他の珊瑚が灰まみれの中
このシコロサンゴだけは表面に火山灰がついていないのだそうです。

今回の写真展でもシコロサンゴの写真が展示されていますが
出羽さんの付けたタイトルは「火山灰の間のオアシス」。
理由は、灰色の海底で、まるで砂漠のオアシスのように輝いていたから。

火山灰を匂いで区別できる知人といい
このシコロサンゴの能力といい
桜島と共存しているゆえの特殊能力なのでしょうか?

シコロサンゴの写真はこちら
展示室ではシコロサンゴの映像もご覧いただけます。

第2回ギャラリートークも盛況でした

小雪が舞う寒い一日となりましたが、
本日開催された出羽慎一さんによる第2回目のギャラリートークには、
たくさんのお客様にご来館頂きました。
誠にありがとうございました。

たくさんのご来館があった為、駐車場が一時混雑するなどご迷惑をお掛けする点もあり
スタッフ一同大変心苦しく思っております。
申し訳ございませんでした。

本日のギャラリートークは『出羽さんにぜひ質問したいことがある!』と、
レポート持参の小学生も参加して下さり、前回同様 熱気あふれるものとなりました。

トーク後に設けている出羽さんとのフリートークの時間は
自由に出羽さんとお話できるとあって、皆さんとても熱心にお話しされています。

出羽さんに質問したいことがある!
出羽さんと直接お話ししたい!

という方は、是非次回のギャラリートークにご参加下さいね。
今後の出羽慎一さんによるギャラリートークの日程は、

◆3月5日(土) 14:00〜
◆3月26日(土) 14:00〜
【会場】三宅美術館2階絵画展示室
【参加費】無料 【参加申込】不要

の2回です。皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

ポストカードご用意しました

以前からご要望の高かった出羽さんの作品のポストカード。
この度の企画展に合わせてご用意して下さいました。

Aセット、Bセットとあり、当館にお越しいただくお客様には
どちらかというとAセットの方が人気あるようです。
もちろんAにしようか、Bにしようか迷う方も多いです。
そんな中、迷わずBセットを選ぶ方々がいらっしゃいます。
お見受けするに、どうもダイビングで錦江湾に潜っていらっしゃるか、
錦江湾の生物に詳しい方々のようです。

セットの組み合わせは出羽さんご自身のセレクトなのですが
さしずめBセットは‘マニア向け’というところなのでしょうか。

当館では窓口販売のみですが、出羽さんのHPから購入も可能ですよ。

写真 (左)Aセット(中央)写文集(右)Bセット 
  カード 1セット5枚組 ¥500
  写文集 1冊      ¥2,200

鹿児島湾(錦江湾)の海底地形

目の前に対岸が見える錦江湾。

一見そんなに深いようには見えませんが
実は水深220mを超える‘どん深の海’なのだそうです。
珊瑚が生息していれば深海魚も生息している
不思議な生態系を持つ所以はその地形にあるようです。

『桜島 海底に流れる時間』では写真の補足情報として資料をいくつか展示しています。


その中の、等深線の入った鹿児島湾海底地形図と
鹿児島湾海底地形模型(鹿児島大学水産学部西隆一郎研究室 蔵)の二つを見比べて頂くと
鹿児島湾の海底地形がとてもよく分かります。

桜島のなだらかな斜面が水面下までずっと続いていると思いきや、
桜島の南側 観音崎あたりは水深160mほどまで一気に深くなっています。
模型でみるとまさに断崖絶壁です。

 

桜島の北東、福山町には海上自衛隊の鹿児島試験場があり時々潜水艦を見かけますが
ここも水深200mになってます。

一方、小学生たちが遠泳をする辺りは水深40〜50mほどのなだらかな地形となっています。
模型を参考に写真の生き物たちの生活に思いをはせてみて下さい。

参考までに、
鹿児島湾の先の海底地形は鹿児島大学総合研究博物館の常設展示室でご覧いただけます。
(資料名:海底地形と地質断面)鹿児島湾のみならず、鹿児島県全域の海底地形の模型です。これをご覧いただくと、今活発に爆発的噴火を繰り返している新燃岳、桜島を含めその他鹿児島県の火山がこのように配列している理由が一目瞭然です。

(火山の配列:気象庁)

雪の日の錦江湾は…

昨朝は、当館周辺も雪が2,3cm積もり冷たい朝となりました。

こんなに寒い日、錦江湾の生き物たちは水の中でどんな風に過ごしているのでしょう。
さぞや冷たい海中で、寒い思いをしているのでは…

この季節の水温は約16度ほどだそうです。
水温の方が気温より高いので、
出羽さんによると寒風にさらされた船上から水の中に入った瞬間は、
温泉に浸かったように温かく感じるのだそうです。

気温より水温の方が高い…日常生活を送る中では考えたこともない事でした。
こんなに寒い雪の日、
錦江湾の中でも水面に落ちてくる雪を眺めている生きものがいるのかもしれません。

KTSさんの取材

本日、鹿児島テレビ(KTS)さんが取材にいらっしゃいました。

取材にいらした女性記者さんもダイビングライセンスをお持ちで
仕事でも水中リポートや水中撮影をされたこともあるとか!

さすが、水中写真の世界をよくご存じでいらっしゃいまいた。

放送はいつになるのか分かりませんが
出羽さんのインタビューもありますので
ぜひKTSのニュースにチャンネルを合わせてみて下さいね。

いよいよ始まりました

昨日は北風が強く寒い日にもかかわらず
出羽慎一さんによるギャラリートークにたくさんのお客様がご来場下さいました。

分かりやすく、楽しく、
錦江湾の生き物たちについて話してくださる出羽さんのお話に
みなさん時間を忘れて聞き入っていました。

期間中は一部展示替えも行いますので
次回のギャラリートークでは今日とは違ったお話が聞けるのかもしれません。

出羽さんのギャラリートークはあと3回予定されておりますので
第1回にお越しいただけなかった方も、是非次回はお立ち寄り下さい。

【 ギャラリートーク日程 】
 ● 第2回 2月12日(土) 14:00〜
 ● 第3回 3月 5日(土) 14:00〜
 ● 第4回 3月26日(土) 14:00〜
 [ 会場 ]三宅美術館2階展示室

 申込は不要です。お気軽にお立ち寄り下さい。