最終回となります第14回は、鹿児島県美術協会会長で谷山在住の祝迫正豊先生の作品を紹介いたします。
祝迫正豊「時の狩人、時空」
2024年 油彩/キャンバス
「時の狩人」シリーズとは、コロナ禍の中で感じた印象を錦江湾の上に浮かぶ「岩盤」で表現したことに始まるシリーズです。
ある日ご自宅(錦江湾がよく見えるそうです)からの景色を眺めていたとき、錦江湾の上に巨岩が浮かんでいるイメージが頭に浮かび、コロナウイルス流行という未曾有の事態のなかで感じた事柄を描きとどめるべく制作を始めたそうです。
コロナウイルスの流行の収束とともに画面にも変化がみられ、本作品では錦江湾や桜島の姿は見られないようです。かわって、「岩盤」と魚のフォルムをした「もや」という対照的なイメージのモチーフが描かれています。重量感のある岩盤と雲のように軽いもやが、ともに七色の光を帯びながら浮遊する、非日常的な世界観に鑑賞者が包まれていくような作品です。