タニヤマアートシーンの作家たち(12)

第12回も、谷山校区の学校に勤務されている先生の作品を紹介いたします。

濵元良太「そんな日」2024年 油彩・キャンバス

鹿児島情報高等学校教諭の濵元良太先生は、南日本美術展や県美展を活躍の場とされ、現在は鹿児島県美術協会会員です。
橋のような構造物を背景に、各々異なる方向に眼差しを向ける3人の女性像。重厚なマチエールに半ば同化するように描かれている様子をみると、空想、あるいは記憶の中の人物を描いているようにもみえます。
身体のデッサンを大切にしている作家さんならではの、人物の持つ静かながら、確かな存在感を感じていただきたいです。

タニヤマアートシーンの作家たち(11)

第11回は、谷山校区の学校に勤務されている先生の作品を紹介いたします。

田渕義弘「島の童」
FRP・合成漆

鹿児島市立谷山中学校教諭の田渕義弘先生は、日展・白日展で多数入選され、現在は白日会会友です。
本作品はタイトルのとおり、奄美大島の学校在任中に生徒をモデルとして制作された作品です。元気でおしゃべりな生徒だったそうで、作品もどこか喋りたそうな雰囲気です。中学生ならではの瑞々しい雰囲気や、モデルの真っすぐな内面まで伝わってくるような作品です。

タニヤマアートシーンの作家たち⑩

第10回は内山聡司さんの作品を紹介します。

内山聡司(渓山窯南州工房)「花詰文花瓶」(2021年)

内山聡司さんは1974年に開窯した「渓山窯南洲工房」の二代目窯主です。
絵付けを施した焼物の窯場の多くが分業制であるなか、成形(ロクロ・透かし彫り)から窯焚、絵付けまで全ての工程を一人で行う、県内では珍しい作家の一人です。
梅、椿、桜、花しょうぶ、蓮、菊、なでしこ、牡丹と四季の花々が散りばめられた精緻な花詰文様は、驚くべきことに絵付けの見本はなく、作家自身の頭の中のイメージをもとに展開されています。
江戸時代に専ら藩主専用品として焼かれていた頃の、金彩をふんだんに用いた繊細な文様で器全体を彩る、伝統的な白摩焼の上絵付のスタイルを継承した作品です。