第10回は内山聡司さんの作品を紹介します。
内山聡司(渓山窯南州工房)「花詰文花瓶」(2021年)
内山聡司さんは1974年に開窯した「渓山窯南洲工房」の二代目窯主です。
絵付けを施した焼物の窯場の多くが分業制であるなか、成形(ロクロ・透かし彫り)から窯焚、絵付けまで全ての工程を一人で行う、県内では珍しい作家の一人です。
梅、椿、桜、花しょうぶ、蓮、菊、なでしこ、牡丹と四季の花々が散りばめられた精緻な花詰文様は、驚くべきことに絵付けの見本はなく、作家自身の頭の中のイメージをもとに展開されています。
江戸時代に専ら藩主専用品として焼かれていた頃の、金彩をふんだんに用いた繊細な文様で器全体を彩る、伝統的な白摩焼の上絵付のスタイルを継承した作品です。