ただ今当館で開催中の「描かれた鹿児島の名所」展では
鹿児島のシンボル桜島や風光明媚な観光地、
昭和初期の漁村風景など様々な鹿児島の名所を描いた作品を展示しています。
中にはこのような作品も。
これは前畑省三氏の地層シリーズです。
左の白っぽい作品「地層 合」は鹿児島のシラス層を描いています。
右の赤っぽい作品「地層 D」は「赤ホヤ層」を描いたものです。
鹿児島の名所とよぶには少々マニアックかもしれませんが
でも、これらの地層は鹿児島ならではの地層なんです。
シラス層はおなじみの地層ですね。
このシラス層、実は2万9000年前の姶良カルデラによる噴出物(入戸火砕流)の堆積物です。
長い年月をかけて桜島の降灰が少しづつ積もった地層ではないのですね。
もうひとつの「赤ホヤ層」。
これは7300年前の鬼界カルデラの大噴火による噴出です。
この時の噴出物は気流に乗って日本全国に渡って降り積もり
現在は考古学において年代指標となっている地層です。
前畑氏の作品は作家の目を通した表現なので
実際の地層を写実的に描いているわけではありませんが
作品を前にすると、地層の背景にある自然の脅威や時間の重みがしっかりと伝わってきます。
余談ですが…
当館から車で3分ほどの場所に
8000万年前の四万十累層群と阿多火砕流の堆積層が見られるようになっています。
谷山インターから伊作峠に向かって車で1分もかからない、右手側にあります。
とても巨大なのですぐに分かりますよ。
お近くへお越しの方はぜひ足を延ばしてみて下さい。