ギャラリートーク:龍門司焼次郎太窯 川原輝夫氏

本日、龍門司焼次郎太窯の川原輝夫氏に龍門司焼、次郎太窯についてお話いただきました。
川原氏は、「薩摩伝統工人伝」に紹介されている龍門司焼の陶工「芳次(ほうじ)」の孫にあたります。

まずは、展示中の芳次(次郎太)と芳光(源助)の作品を見ながら芳次や芳光について。
それから、龍門司焼の時代背景や、明治の陶工の話。そして、龍門司焼の土の特徴や採取の場所、調合など専門的な内容まで、普段は聞くことのできない内容をお話いただきました。
また、多彩な釉薬を持つことで有名な龍門司焼。
龍門司焼は、今も土と釉薬の原料は全て地元で採取、調達しているそうです。
本日はその中から12種類の釉薬見本を持ってきてくださいました。

こうして並べて比較していくと、その種類と技法の多彩さに驚くとともに、
先人から連綿と続く研究と努力に改めて頭が下がる思いです。

今回見本で紹介してただいた釉薬は
白流し、玉流し、青流し、ふり掛け流し、龍門司三彩、飛びかんな、象嵌三島手、飴釉、龍門司黄釉、鮫肌、観音、芳工赤、の12種類でした。
「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展では、このうち「玉流し」(芳次)、「龍門司三彩」(軍次)、「芳工赤」(芳光)、「象嵌三島手」(芳光)を展示しています。
それ以外に大変珍しい「どんこ釉」(軍次)と「白蛇蝎」(輝夫)も展示していますので、
様々な表情をもつ龍門司焼をぜひご覧下さい。

「物語のふるさと加治木」


椋鳩十は昭和5年、法政大学卒業した後、鹿児島の県立病院で眼科医をしていた姉の紹介で
種子島の中種子高等小学校の教員となりました。(しかし、越中ふんどし姿で授業をしたことが見つかり、3ヶ月で辞職するという破天荒なエピソードが残っています。)
その後、現在の加治木高校の国語教師となり、昭和27年まで加治木町(現在の姶良市)で過ごすこととなりました。
初めて椋鳩十の名で出版した「山窩調」や、動物をテーマにした児童文学を発表していった加治木は、椋鳩十文学の「ふるさと」ともいえる地なのです。

その加治木にある椋鳩十文学記念館の入口には、
椋鳩十の「南国のふるさと随想」(理論社)から「物語のふるさと加治木」が
日展会員の書家法元康州(ほうがこうしゅう)氏による書と
龍門司焼次郎太窯の川原輝夫氏による陶板で設置されています。

そして、この陶板を作製された川原輝夫氏は、「薩摩伝統工人伝」で龍門司焼焼きの名工として紹介されている芳次(川原次郎太)の孫にあたる陶工です。
1月27日(土曜日)には当館でギャラリートークをしていただきますので、ぜひ足をお運びください。

午後2時から、三宅美術館1階展示室にて。

次回ギャラリートークのお知らせ


「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展、第2回のギャラリートークは沈壽官窯の15代沈壽官氏です。
椋鳩十が著書『薩摩伝統工人伝』で紹介している陶工12代沈壽官氏の曾孫にあたります。
1987(慶応3)年のパリ万博、1873(明治6)年のウィーン万博で薩摩焼人気を不動のものとした12代沈壽官とはどのような人物だったのか。沈壽官窯の歴史と併せてたっぷりお話いただきます。

日時:1月20日(土)午後2時~
費用:入館料のみ
会場:三宅美術館1階展示室(お立ちいただいたままのギャラリートークとなります)
予約:不要

第1回ギャラリートーク:久保田里花さん

本日、椋鳩十のお孫さんである久保田里花さんによるギャラリートークが開催されました。
展示している椋鳩十関連資料の解説とそれにまつわるエピソードや
一緒に生活を共にしていたご家族だからこそ知っている素顔などお話いただきました。

(頻繁に通っていたソバ屋天神房丸新で即興で書いた色紙について解説をする里花氏)

椋鳩十が好きだった薩摩藩士で第3回パリ万博で奔走した前田正名(まさな)の
機転のきいた「便所」のエピソードや、
仕事関係者から初対面のファンまで、ホテルをキャンセルさせてご自宅に泊めていたこと。
鹿児島県内津々浦々巡って、鹿児島の自然、食、文化などの素晴らしさを熟知されていたことなど、盛りだくさんお話いただきました。

また、当館に贈呈された著書「薩摩伝統工人伝」の見返しに書かれた「芸」の由来も
本日の里花さんのお話で判明しました。

里花さんのお話を聴いて、改めて椋鳩十作品を読んでみたくなった方も多いと思います。
先日、椋鳩十作品が絵本として出版されたので、よかったらお手に取ってみてくださいね。

出版社:理論社

久保田里花氏によるギャラリートーク


南国鹿児島にも雪がちらついて、冬本番となってきましたね。

さて、今週の土曜日(13日)午後2時から、椋鳩十先生のお孫さんで
児童文学作家の久保田里花さんによるギャラリートークを開催いたします。
椋鳩十先生と生活を共にしていたご家族ならではのエピソードや、
企画展で展示している椋先生関連の資料についてお話いただきます。

予約、参加費は不要です。(入館料は必要です)
参加ご希望の方は、当日午後2時前に、1回展示室にお集まりくださいね。

久保田里花さん

第4回ギャラリートーク

昨日,坂田燦の「おくのほそ道」版画展の最後のギャラリートークが開催されました。
7月の第1回目から毎回参加され,すっかり坂田燦ファンになった方もいらっしゃいました。

今回のギャラリートークでは,版画の基本となるスケッチのコツについてお話くださいました。
描きたい対象物をどのように観察し描いていけば良いか。
また,全体のバランスと細部の両方に眼を配る「統合と分析」のとはどのようなことなのか,全員で体験しながらとても分かりやすく説明してくださいました。

また,坂田燦氏が「おくのほそ道」の版画を始めるきっかけとなったのは,大学時代の恩師である岡周末(ちかすえ)先生の講話だったそうです。岡先生は東京美術学校で藤島武二教室で学ばれ,卒業後しばらく藤島の紹介で鹿児島の師範学校で教鞭を取られていたそうです。
そして,その藤島武二の生誕150年記念展がこの時期に鹿児島市立美術館で開催されていることに,感慨深そうなご様子でした。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展は10月30日(火)までです。

第3回ギャラリートーク

昨日は第3回目の坂田燦氏によるギャラリートークが行われました。
主題は,版画と俳句の共通点について,またそれに気づいたきっかけについて,でした。

坂田氏が版画と俳句に共通点を見出したのは,恩師である「岡周末先生」の講話の中で,芭蕉がいかに俳句を推敲していったか,その過程や意味について,知る機会を得たことがきっかけでした。

例えば,わたしたちが
「閑さや 岩にしみ入 蝉の声」
として知っている芭蕉の代表句は,そもそもは,違う言葉が並んでおり,数回の推敲を繰り返し,現在の形になったそうです。
それを知った坂田氏は,版画になるまでに何度も推敲を重ねる自らに制作過程によく似ていると感じたそうです。

また,推敲を重ねる過程においては,10あるものを10で表現するものではなく,版画が色を白と黒に限定していくように,または俳句が文字を12音に限定していくように,10あるものを2または3で表現しなければならない点も,版画と俳句は似ているとのことでした。

思いもよらない版画と俳句の共通点に,ギャラリートークに参加されたみなさんは,興味津々のようすでした。

次回は,10/15(日)に行います。
みなさまのご参加をお待ちしております。

第2回ギャラリートーク

本日は坂田燦氏による2回目のギャラリートークが開催されました。

今回の参加者は,中学生が半分,40代~90代が半分という幅広い年齢層でしたが
初任校での版画教育秘話から海老原喜之助のエピソード,
そして「右利きと左利きと版画」について,「描写」と「表現」の違いについて,など
どの世代が聴いても興味深い内容で,
大人から子供まで真剣に聴き入ったり笑ったりのあっという間の1時間でした。

前回とは違う内容だったので,2度目のご来館の方々も「もっと聴きたい!」
と次回のギャラリートーク参加の予約をしてお帰りになりました。
(ちなみに予約がなくても参加できますのでご安心を。)

本日は前回(50名)を上回る参加者で,座席のご用意が間に合わず
立ち見となってしまったお客様には,大変申し訳ございませんでした。
また9月の作品入れ替えの後にも開催いたしますので(9月17日と10月15日),
十分なお席をご用意して,ご来場をお待ちしております。

ギャラリートークのご案内

8月17日(木)午後2時~
坂田燦氏による「おくのほそ道」版画展の第2回ギャラリートークを開催します。

第1回目では,版画制作のご苦労や俳句との共通点
坂田氏による「おくのほそ道」紀行など興味深いお話に引き込まれました。

第2回目は1回目とは違った切り口でお話くださるそうです。
今回はどのようなお話が聞けるのか楽しみですね。

ギャラリートークは美術館2階絵画展示室で開催いたします。
予約不要。
中学生以下無料。
高校生以上は入館料が必要となります。
(70歳以上100円,高校生300円,大学生以上500円)

ご来場お待ちしております。

ギャラリートーク:坂田燦の「おくのほそ道」版画展

昨日, 坂田燦の「おくのほそ道」版画展  の初日を無事に迎えることができました。
午後からは坂田氏によるギャラリートークが開催され
坂田氏の中学教諭時代の生徒さんから近所の中学生まで
展示室がいっぱいなるほど多くの方がお越しくださいました。

版画制作から松尾芭蕉の話まで,1時間があっという間に感じるほど先生のお話は面白く
興味深い内容でしたので,みなさんすっかり話に聞き入っていらっしゃいました。

次回ギャラリートークは8月17日(木)午後2時からです。
ご興味のある方はぜひ足をお運びください。
(予約不要)