
ロクロをひく有山長佑さん(2019年)
6月25日にご逝去された四代長太郎の有山長佑さんを追悼し
当館1階の長太郎焼常設展示エリアに長佑さんの作品を展示しました。


ロクロをひく有山長佑さん(2019年)
6月25日にご逝去された四代長太郎の有山長佑さんを追悼し
当館1階の長太郎焼常設展示エリアに長佑さんの作品を展示しました。
現在、鹿児島市立美術館で特別企画展「鹿児島市立美術館開館70周年記念 没後100年 黒田清輝とその時代」が開催されていますが、黒田清輝と鹿児島の焼物「長太郎焼」は実は深い関係があるのです。

明治32年、谷山に窯を築いた初代有山長太郎は、当初は「長太郎焼」ではなく「清見山」「谷山清見」「薩摩清見山」「清見山 有山」「薩摩 谷山」などと銘を施していました。


明治42年頃、長太郎は鹿児島に帰省していた画家の黒田清輝に知遇を得、
以来協力と激励を受け、大正9年にこれまでにない理想とする作品を焼き上げました。
それを見た黒田清輝は「古枯を以て優るものあり、雄大を以て秀づるものあり雅趣に豊なるものあり、気品に誇るものあり」と激賞し、『長太郎焼』と命名したのです。大正11年には商標登録もしています。
当時日本の洋画界を牽引していた黒田清輝ですが、その審美眼は陶芸にも向けられていたのですね。
端午の節句が近いので
焼物常設展示に白薩摩の「金襴手獅子乗鐘馗像」を展示しました。

鐘馗(しょうき)は中国唐の時代、玄宗皇帝の夢に出てきて
「天下の虚耗の妖孽を攘わん」(国家を弱らせる災いを払おう)と言ったといい,
その風貌は
「巨眼多髭にして黒衣を纏い,冠を着け,劔を抜いて子鬼を捉えている」とのこと。
(参照「東洋画題綜覧」編 金井紫雲)
その故事から端午の節句に魔除けとして鐘馗像を飾るようになったそうです。
当館の鐘馗像も大きな目にヒゲをたくわえ,冠を着けていますが
着衣は黒ではなく鮮やかな色彩と細かな文様がほどこされています。
背面には龍が描かれていて,袖と腹部には恐ろしい形相の鬼も。


振り上げている右手には穴があいているので,きっと劔を持っていたのでしょう。
展示室でお見せできないのが残念ですが,
鐘馗が乗っている獅子の脚裏にはちゃんと肉球が成形されているんですよ。

焼き物展示室では酉年にちなんで鶏をモチーフとした作品を展示しています。
画像手前から 「金襴手鶏香炉(銘 寿勝)」,「稲束と鶏」
そしてインターネットミュージアムの干支コレクションアワードに出品中の「諌鼓鶏」です。
山水画の絵付けが施された「山を描く展」の焼き物と併せて,ぜひご覧下さい。
本日KYT鹿児島読売テレビで午後0時から放送された「開運!なんでも鑑定団」で当館所蔵の焼き物が紹介されました。
白薩摩焼の菓子器の出品作品が登場した際、薩摩焼の歴史を紹介するVTRの中で二点の作品を紹介していただいたのです。
◇黒釉貼付龍文半胴甕 https://www.miyake-art.com/floor_1st
◇色絵金襴手花鳥文大花瓶 https://www.miyake-art.com/floor_1st
二点とも現在当館1階焼き物展示室にて展示しておりますので、是非実物をご覧になってみて下さい。
いよいよ夏休みに入り、早速、夏休み初日の昨日から中学生の生徒さんたちが来館されています。当館近隣の中学校では、毎年夏休みの宿題で美術の宿題があるそうで、この時期になると多くの小学生や中学生が宿題をしに足を運んでくれるのです。
現在開催中の企画展「水辺のアルバム ―海と暮らし川と歩む―」展では、中学生以下のお子様の入館料を夏休み期間中無料にしています。
多くのお子様に美術作品を見る経験、美術館で過ごす経験を持ってほしいという考えから始めた夏休み期間限定のものです。宿題としてだけでなく、社会体験の一つとしても足を運んでいただければ、と思っていおります。是非、みなさんでご来館下さい。