「没後40年寺尾作次郎 美学の系譜」展より 作品紹介6

「貢戸棚」昭和9年(東京時代)
 長さ九尺(約2m70cm) 奥行三尺(約90cm)

本作品は昭和9年、毎日新聞社の記者で俳人の小野賢一郎氏の依頼により
東伏見伯爵家へご成婚祝の献上品として制作された書棚です。
表扉から横、背面まで革張り細工が施され、琉球王府の江戸上りがモチーフとなっています。下絵が彫られた版木に革を打ち付けて図柄を浮き上がらせ、その上に金箔を敷いてから彩色がされているそうです。これは、経年とともに渋い味わいが出ることが計算された手法です。
革細工に使用された版木とその下絵はすべて残っていますが、本展では表扉の4枚を展示しています。