タニヤマアートシーンの作家たち(13)

第13回は、ステンドグラス作家・田中千紘さんの作品「海の星」です。

 田中千紘「海の星」
2022年 ステンドグラス

田中千紘さんは教室開催とともに現代アートとしてのステンドグラス作品を南日本美術展等の公募展に出品するほか、霧島アートの森や南溟館などで積極的に作品発表を行っていらっしゃいます。
 本作品は枕崎のカトリック教会にインスピレーションを得て制作されたもので、タイトルは「海の星」という教会の別名に由来しています。
 ステンドグラス教室の生徒さんのつながりでミサに参加したところ、雰囲気や教会から見える海の景色の綺麗さに心を動かされ、制作に至ったそうです。
 花が咲き誇る丘の上に建てられた教会やオリーブの木を星空や海のイメージが取り囲み、天上から天使が見守るといった、小宇宙のようなスケールを感じさせる作品です。

 ステンドグラスの制作技法はケイム(溝のある鉛線)にガラスをはめ込む技法〈ケイム技法〉と、銅箔のテープをガラス側面に巻いてはんだ付けでつなぎ合わせる技法〈ティファニー技法〉の2種類がありますが、本作品は両方の技法で構成されています。円状の部分の内側がティファニー技法、その外側がケイム技法となっています。
 ティファニー技法の部分には、管状のガラスを刻んだものをガラス窯で焼いてつなぎ合わせたり、魚の形の金属パーツをガラスの中に焼き込んだりして制作されたオリジナルのガラスが散りばめられています。