9月7日(土)、「TANIYAMA ART SCENE」第2回ギャラリートークを開催しました。
今回は鹿児島県美術協会会長・二科会会員の祝迫正豊先生にお話いただきました。
今回は画面構成の工夫や色調による効果、モチーフの描写方法の違いといった、作家ならではの観点から解説いただきました。
谷山在住の画家・児玉 光仙(こだま こうせん)(1921-2007)は、水墨画を思わせるダイナミックな線が印象的な作品(例:「暁の桜島」)で知られる一方で、「慕情(想)」のような、余白の白色からモチーフがぼんやりと浮かび上がるような、やや異なる画風の作品も残しています。
この作品について、先生は「余白の取り方がダイナミックな作品であり、画家にとっては描きこみをどこまでに留めるかの判断も難しいところ」と解説され、画家のバイタリティーが別の形で発揮された作品であることに気づかされました。
また、谷山在住の先輩作家の方々とのエピソードもお話いただきました。
一貫して裸婦をモチーフとした庵跡 芳昭(あんぜき よしあき)(1929-2016)は、ドーバー海峡にて版画家の浜田 知明(はまだ ちめい)(1917-2018)と知り合いました。後年浜田が来鹿した際に庵跡の自宅へ案内したところ、ユニークな歓迎を受けたそうです。
ポスター掲載作品「時の狩人、時空」は、コロナという見えないものへの恐怖を感じていた時間を記録すべく制作を始めた「時の狩人」シリーズのなかでも、新たな展開を見せている作品です。複雑な形状をした重量感のある「岩盤」と、魚のようなフォルムの「もや」という対照的なモチーフが、七色の光を帯びながら宙に漂っています。
モチーフの持つ意味などについてわかろうと思いを巡らすより、画面の前に立って受けた印象を大切にして欲しいそうです。
祝迫先生ならびにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。