辻之堂の水神様

ただ今絵画展示室では「水辺のアルバム」と題し
海や川など水辺の風景にちなんだ作品を展示していますので、
当館の水にちなんだ風景をご紹介します。

写真の石祀は当館駐車場の奥に鎮座している水神様です。
もとは道路側にあったのですが、駐車場整備にあたり今の場所に移されました。

この辺りは水が豊富な地域らしく、昭和30年代まで水田が広がっていました。
当館向いの建物の脇には堀(水路)が流れていたので、
この水神様はその堀(水路)にあったものかもしれません。

ちなみに、ここから50m程先には、笹貫の刀匠波之平の分家があり
堀に囲まれていたので「堀の波之平」と呼ばれています。
今もバス停留所「新永田橋」の側に堀の跡が少しですが残っています。
また、この堀沿いにお住まいだった名残りで
堀脇さんというお名前が数件残っています。

刀匠が移り住むのですから、水も上質だったようです。
今でも井戸が残っているお宅が沢山ありますが、
指宿枕崎線の線路辺りから水脈が違うらしく
線路から永田川方面(堀の波之平側)は非常に上質の水が出るのですが
残念ながら線路からこちら側は赤水なのだそうです。

また、この辺りでは水が豊かな沢などに生息しているエゴノキが
一般のご家庭の庭木として元気に花を咲かせています。
これも水脈の豊かな地域だからこそ見られる風景なのでしょうね。

辻之堂の馬頭神

先日ご紹介した当館前の田の神さぁの隣には「馬頭神」の石碑があります。
馬頭神の石碑は家畜の健康と安全を願い、また弔うために建てられています。

ここ谷山は昭和40年代頃までは田畑が広がっていたそうで
きっとたくさんの農耕用の牛馬がいたのでしょう…。

しかし、10年ほど前に私が谷山に移り住んできた頃は
街並みは今とそれほど変わらない現代の閑静なこの住宅街で、
普通に馬が飼われていました。
普通の民家の庭先に、犬小屋に犬がいるように、馬小屋に馬がいました!
それも1件だけではなく複数件!!

最初私にとっては、かなり衝撃的な光景で
「農耕馬なんだろうか?ペットなんだろうか?」
「犬みたいに散歩をさせているんだろうか?」
「そもそも公道を歩けるんだろうか?」
と、頭の中を???が駆け巡りました。

地元の方々に「馬がいるんですね!?」と驚きを伝えても
「あぁいるよね。」
何驚いてんだ?という反応。
谷山の人にとっては違和感のない日常風景のようでした。
 
それもそのはず、
この辺り(永田橋のたもと)は伊作街道の宿場だったそうです。
永田川の川岸で馬を荒い、永田橋から現JR谷山駅方面の川沿いには
蹄鉄を打つ鍛冶屋や茶屋、車屋(馬車)が並んでいたそうです。
乗り継ぐための馬が沢山飼われていて、今も当時の小屋が残っています。

残念ながら、ここ数年どのお宅も馬を手放してしまい、
もう、この辺りで馬を見かけることはなくなりました。