ギャラリートーク:龍門司焼次郎太窯 川原輝夫氏

本日、龍門司焼次郎太窯の川原輝夫氏に龍門司焼、次郎太窯についてお話いただきました。
川原氏は、「薩摩伝統工人伝」に紹介されている龍門司焼の陶工「芳次(ほうじ)」の孫にあたります。

まずは、展示中の芳次(次郎太)と芳光(源助)の作品を見ながら芳次や芳光について。
それから、龍門司焼の時代背景や、明治の陶工の話。そして、龍門司焼の土の特徴や採取の場所、調合など専門的な内容まで、普段は聞くことのできない内容をお話いただきました。
また、多彩な釉薬を持つことで有名な龍門司焼。
龍門司焼は、今も土と釉薬の原料は全て地元で採取、調達しているそうです。
本日はその中から12種類の釉薬見本を持ってきてくださいました。

こうして並べて比較していくと、その種類と技法の多彩さに驚くとともに、
先人から連綿と続く研究と努力に改めて頭が下がる思いです。

今回見本で紹介してただいた釉薬は
白流し、玉流し、青流し、ふり掛け流し、龍門司三彩、飛びかんな、象嵌三島手、飴釉、龍門司黄釉、鮫肌、観音、芳工赤、の12種類でした。
「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展では、このうち「玉流し」(芳次)、「龍門司三彩」(軍次)、「芳工赤」(芳光)、「象嵌三島手」(芳光)を展示しています。
それ以外に大変珍しい「どんこ釉」(軍次)と「白蛇蝎」(輝夫)も展示していますので、
様々な表情をもつ龍門司焼をぜひご覧下さい。

この一品:「黒釉玉流獅子乗り香炉」


本作品は、「薩摩伝統工人伝」で紹介されている龍門司焼の陶工 芳次(ほうじ)作の香炉です。1919年の島津義弘公没後300年記念に制作されました。来年は2019年。義弘公没後400年になります。

本作品は朝日新聞の「この一品」でも紹介させていただきました。

今週末の1月27日(土曜日)は、芳次の孫にあたる、龍門司焼次郎太窯の川原輝夫氏によるギャラリートークを開催いたします。
ぜひ足をお運びください。

〈ギャラリートーク〉
時 間:午後2時から
参加費:入館料のみ
予 約:不要

画像:朝日新聞 平成30年1月25日付 第2鹿児島面 「この一品」
掲載承諾書番号:18-0093 (本記事は朝日新聞社に無断で転載することはできません)

「物語のふるさと加治木」


椋鳩十は昭和5年、法政大学卒業した後、鹿児島の県立病院で眼科医をしていた姉の紹介で
種子島の中種子高等小学校の教員となりました。(しかし、越中ふんどし姿で授業をしたことが見つかり、3ヶ月で辞職するという破天荒なエピソードが残っています。)
その後、現在の加治木高校の国語教師となり、昭和27年まで加治木町(現在の姶良市)で過ごすこととなりました。
初めて椋鳩十の名で出版した「山窩調」や、動物をテーマにした児童文学を発表していった加治木は、椋鳩十文学の「ふるさと」ともいえる地なのです。

その加治木にある椋鳩十文学記念館の入口には、
椋鳩十の「南国のふるさと随想」(理論社)から「物語のふるさと加治木」が
日展会員の書家法元康州(ほうがこうしゅう)氏による書と
龍門司焼次郎太窯の川原輝夫氏による陶板で設置されています。

そして、この陶板を作製された川原輝夫氏は、「薩摩伝統工人伝」で龍門司焼焼きの名工として紹介されている芳次(川原次郎太)の孫にあたる陶工です。
1月27日(土曜日)には当館でギャラリートークをしていただきますので、ぜひ足をお運びください。

午後2時から、三宅美術館1階展示室にて。

この一品:「錦手四君子図蓋透彫角型香炉」


朝日新聞の「この一品」で、開催中の「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」から、
十二代沈壽官作の「錦手四君子図蓋透彫角型香炉」(沈家伝世品収蔵庫蔵)をご紹介させていただきました。
展示室では他に十二代が得意としていた捻りものを2点、
十三代から当代(十五代)の作品を展示しています。

2月17日(土曜日)は十五代沈壽官氏によるギャラリートークも開催いたしますので、
ぜひ足をお運びください。

〈ギャラリートーク〉
時 間:午後2時から
参加費:入館料のみ
予 約:不要

画像:朝日新聞 平成30年1月18日付 第2鹿児島面 「この一品」
掲載承諾書番号:18-0093 (本記事は朝日新聞社に無断で転載することはできません)

企画展関連イベント


「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展関連イベントとして、表具(掛軸)の裏打ちと切り継ぎの実演を行います。
実演してくださるのは、「薩摩伝統工人伝」に表具師として紹介されている田代常吉のお孫さんで、田代表具店三代目の田代和雄さんです。
滅多に見ることのできない表具師の技をぜひご覧下さい。

日時:平成30年1月21日(日曜日)午後2時から
会場:三宅美術館2階
費用:入館料のみ
予約:不要

次回ギャラリートークのお知らせ


「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展、第2回のギャラリートークは沈壽官窯の15代沈壽官氏です。
椋鳩十が著書『薩摩伝統工人伝』で紹介している陶工12代沈壽官氏の曾孫にあたります。
1987(慶応3)年のパリ万博、1873(明治6)年のウィーン万博で薩摩焼人気を不動のものとした12代沈壽官とはどのような人物だったのか。沈壽官窯の歴史と併せてたっぷりお話いただきます。

日時:1月20日(土)午後2時~
費用:入館料のみ
会場:三宅美術館1階展示室(お立ちいただいたままのギャラリートークとなります)
予約:不要

椋鳩十資料について

先日、朝日新聞の「この一品」でも紹介させていただいた、椋鳩十の「薩摩伝統工人伝」
取材ノートについて、ノートの中身を見てみたい、とご要望をいただきました。

残念ながら展示中の取材ノートは原本のため手に取ってご覧いただくことはできませんが、
姶良市の椋鳩十文学記念館では、取材ノートの複写版を自由にご覧いただけます。
その他、椋鳩十関連の資料を多数揃えていらっしゃいますので、ぜひ足を運んでみて下さい。

この一品:「椋鳩十直筆原稿・取材ノート」


朝日新聞の「この一品」で、開催中の「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」から、
椋鳩十の「薩摩伝統工人伝」の直筆原稿と取材ノート(かごしま近代文学館保管)をご紹介させていただきました。
展示室では原稿を書くときに愛用していたフェルトペン(椋鳩十文学館記念館保管)も併せて展示しています。原稿の筆致から椋先生のお人柄や書斎での様子が目に浮かぶのではないでしょうか。

画像:(朝日新聞 平成30年1月11日付 第2鹿児島面 「この一品」
掲載承諾書番号:18-0093 本記事は朝日新聞社に無断で転載することはできません)

椋鳩十著「薩摩伝統工人伝」


この度の企画展は、
椋鳩十の著書「薩摩伝統工人伝」(西日本図書館コンサルタント協会、昭和54年発行)
に椋鳩十の目をとおして描かれた工人12名を作品や資料を展示して紹介しています。

この「薩摩伝統工人伝」は、もともと南日本放送が発行していた「MBCクォータリー」(非売品)という冊子に寄稿されていたもので、本書は、その中から12名の工人を抜粋して書籍化したものになります。

「MBCクォータリー」は、放送業界の専門的な記事をはじめ、当時の各分野の文化人、著名人が寄稿している大変興味深い内容となっていて、今となっては大変貴重な資料です。
椋鳩十は創刊時から寄稿しており、創刊から「日高山伏物語」(掲載期間:昭和34年~昭和37年)、次に「日本一さつま」(掲載期間:昭和38年~昭和42年 他県に誇れる薩摩の自然や衣食住、習慣などを紹介する内容)を寄稿しています。

「薩摩伝統工人伝」は昭和43(1968)年から昭和57(1982)年まで寄稿されていましたが、
残念ながら昭和57年Spring号(3月10日発行)をもってMBCクォータリーは廃刊となってしまいました。

「薩摩伝統工人伝」と「MBCクォータリー」は鹿児島県立図書館に収蔵されていますので、
ご興味のある方はぜひ一読されてみてください。