初代長太郎のレリーフ

「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」では「薩摩伝統工人伝」に紹介されている工人12名の作品や資料を展示しています。
その中で椋鳩十に「日本の陶芸家の中にあっても、光芒をはなつ存在であった」と評されているのが初代長太郎です。
本展では初代長太郎の「羅漢坐像」を展示していますが、私たちの身近なところでも初代長太郎の作品を見ることができます。

これは鹿児島市役所本庁舎の本館です。

本館の正面玄関に丸いレリーフがあるのにお気付きでしょうか。

このレリーフの作家が初代長太郎です。

このレリーフの制作にあたっては大変なご苦労があったようです。

2月11日(日曜日)には、初代長太郎の孫で指宿長太郎焼窯元の有山禮石氏によるギャラリートークを開催いたします。
長太郎焼についてお話いただきますので、ぜひ足をお運びください。

【ギャラリートーク詳細】
日時:2月11日(日曜日)午後2時から
会場:三宅美術館1階展示室
予約:不要
参加費:入館料のみ

この一品:ミニ屏風

「薩摩伝統工人伝」で『鹿児島では押しも押されない表具師』と紹介されている田代常吉の孫にあたり、田代表具店三代目の田代和雄氏による、掛け軸の「裏打ち」と「切り継ぎ」の実演
を開催いたしましたが、(詳細はこちら)、その田代和雄氏が経師(屏風や襖を表装する職人、作家)として制作したミニ屏風をご紹介させていただきました。

画像:朝日新聞 平成30年2月1日付 第2鹿児島面 「この一品」
掲載承諾書番号:18-0093 (本記事は朝日新聞社に無断で転載することはできません)

「ミニ屏風」は企画展第2展示室で展示中です。ぜひ実物の「裂」をご覧になってみてください。

ギャラリートーク:龍門司焼次郎太窯 川原輝夫氏

本日、龍門司焼次郎太窯の川原輝夫氏に龍門司焼、次郎太窯についてお話いただきました。
川原氏は、「薩摩伝統工人伝」に紹介されている龍門司焼の陶工「芳次(ほうじ)」の孫にあたります。

まずは、展示中の芳次(次郎太)と芳光(源助)の作品を見ながら芳次や芳光について。
それから、龍門司焼の時代背景や、明治の陶工の話。そして、龍門司焼の土の特徴や採取の場所、調合など専門的な内容まで、普段は聞くことのできない内容をお話いただきました。
また、多彩な釉薬を持つことで有名な龍門司焼。
龍門司焼は、今も土と釉薬の原料は全て地元で採取、調達しているそうです。
本日はその中から12種類の釉薬見本を持ってきてくださいました。

こうして並べて比較していくと、その種類と技法の多彩さに驚くとともに、
先人から連綿と続く研究と努力に改めて頭が下がる思いです。

今回見本で紹介してただいた釉薬は
白流し、玉流し、青流し、ふり掛け流し、龍門司三彩、飛びかんな、象嵌三島手、飴釉、龍門司黄釉、鮫肌、観音、芳工赤、の12種類でした。
「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展では、このうち「玉流し」(芳次)、「龍門司三彩」(軍次)、「芳工赤」(芳光)、「象嵌三島手」(芳光)を展示しています。
それ以外に大変珍しい「どんこ釉」(軍次)と「白蛇蝎」(輝夫)も展示していますので、
様々な表情をもつ龍門司焼をぜひご覧下さい。

この一品:「黒釉玉流獅子乗り香炉」


本作品は、「薩摩伝統工人伝」で紹介されている龍門司焼の陶工 芳次(ほうじ)作の香炉です。1919年の島津義弘公没後300年記念に制作されました。来年は2019年。義弘公没後400年になります。

本作品は朝日新聞の「この一品」でも紹介させていただきました。

今週末の1月27日(土曜日)は、芳次の孫にあたる、龍門司焼次郎太窯の川原輝夫氏によるギャラリートークを開催いたします。
ぜひ足をお運びください。

〈ギャラリートーク〉
時 間:午後2時から
参加費:入館料のみ
予 約:不要

画像:朝日新聞 平成30年1月25日付 第2鹿児島面 「この一品」
掲載承諾書番号:18-0093 (本記事は朝日新聞社に無断で転載することはできません)

「物語のふるさと加治木」


椋鳩十は昭和5年、法政大学卒業した後、鹿児島の県立病院で眼科医をしていた姉の紹介で
種子島の中種子高等小学校の教員となりました。(しかし、越中ふんどし姿で授業をしたことが見つかり、3ヶ月で辞職するという破天荒なエピソードが残っています。)
その後、現在の加治木高校の国語教師となり、昭和27年まで加治木町(現在の姶良市)で過ごすこととなりました。
初めて椋鳩十の名で出版した「山窩調」や、動物をテーマにした児童文学を発表していった加治木は、椋鳩十文学の「ふるさと」ともいえる地なのです。

その加治木にある椋鳩十文学記念館の入口には、
椋鳩十の「南国のふるさと随想」(理論社)から「物語のふるさと加治木」が
日展会員の書家法元康州(ほうがこうしゅう)氏による書と
龍門司焼次郎太窯の川原輝夫氏による陶板で設置されています。

そして、この陶板を作製された川原輝夫氏は、「薩摩伝統工人伝」で龍門司焼焼きの名工として紹介されている芳次(川原次郎太)の孫にあたる陶工です。
1月27日(土曜日)には当館でギャラリートークをしていただきますので、ぜひ足をお運びください。

午後2時から、三宅美術館1階展示室にて。

この一品:「錦手四君子図蓋透彫角型香炉」


朝日新聞の「この一品」で、開催中の「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」から、
十二代沈壽官作の「錦手四君子図蓋透彫角型香炉」(沈家伝世品収蔵庫蔵)をご紹介させていただきました。
展示室では他に十二代が得意としていた捻りものを2点、
十三代から当代(十五代)の作品を展示しています。

2月17日(土曜日)は十五代沈壽官氏によるギャラリートークも開催いたしますので、
ぜひ足をお運びください。

〈ギャラリートーク〉
時 間:午後2時から
参加費:入館料のみ
予 約:不要

画像:朝日新聞 平成30年1月18日付 第2鹿児島面 「この一品」
掲載承諾書番号:18-0093 (本記事は朝日新聞社に無断で転載することはできません)

企画展関連イベント


「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展関連イベントとして、表具(掛軸)の裏打ちと切り継ぎの実演を行います。
実演してくださるのは、「薩摩伝統工人伝」に表具師として紹介されている田代常吉のお孫さんで、田代表具店三代目の田代和雄さんです。
滅多に見ることのできない表具師の技をぜひご覧下さい。

日時:平成30年1月21日(日曜日)午後2時から
会場:三宅美術館2階
費用:入館料のみ
予約:不要

次回ギャラリートークのお知らせ


「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」展、第2回のギャラリートークは沈壽官窯の15代沈壽官氏です。
椋鳩十が著書『薩摩伝統工人伝』で紹介している陶工12代沈壽官氏の曾孫にあたります。
1987(慶応3)年のパリ万博、1873(明治6)年のウィーン万博で薩摩焼人気を不動のものとした12代沈壽官とはどのような人物だったのか。沈壽官窯の歴史と併せてたっぷりお話いただきます。

日時:1月20日(土)午後2時~
費用:入館料のみ
会場:三宅美術館1階展示室(お立ちいただいたままのギャラリートークとなります)
予約:不要

この一品:「椋鳩十直筆原稿・取材ノート」


朝日新聞の「この一品」で、開催中の「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」から、
椋鳩十の「薩摩伝統工人伝」の直筆原稿と取材ノート(かごしま近代文学館保管)をご紹介させていただきました。
展示室では原稿を書くときに愛用していたフェルトペン(椋鳩十文学館記念館保管)も併せて展示しています。原稿の筆致から椋先生のお人柄や書斎での様子が目に浮かぶのではないでしょうか。

画像:(朝日新聞 平成30年1月11日付 第2鹿児島面 「この一品」
掲載承諾書番号:18-0093 本記事は朝日新聞社に無断で転載することはできません)

第1回ギャラリートーク:久保田里花さん

本日、椋鳩十のお孫さんである久保田里花さんによるギャラリートークが開催されました。
展示している椋鳩十関連資料の解説とそれにまつわるエピソードや
一緒に生活を共にしていたご家族だからこそ知っている素顔などお話いただきました。

(頻繁に通っていたソバ屋天神房丸新で即興で書いた色紙について解説をする里花氏)

椋鳩十が好きだった薩摩藩士で第3回パリ万博で奔走した前田正名(まさな)の
機転のきいた「便所」のエピソードや、
仕事関係者から初対面のファンまで、ホテルをキャンセルさせてご自宅に泊めていたこと。
鹿児島県内津々浦々巡って、鹿児島の自然、食、文化などの素晴らしさを熟知されていたことなど、盛りだくさんお話いただきました。

また、当館に贈呈された著書「薩摩伝統工人伝」の見返しに書かれた「芸」の由来も
本日の里花さんのお話で判明しました。

里花さんのお話を聴いて、改めて椋鳩十作品を読んでみたくなった方も多いと思います。
先日、椋鳩十作品が絵本として出版されたので、よかったらお手に取ってみてくださいね。

出版社:理論社