「五人の轍」展

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ALS(筋萎縮性側索硬化症)との闘病生活の中で描き続けている絵画。
遅々とした筆使いで創る作品は,一年を通しても数少ない。
今日にいたるまで描いたその一つひとつをここに集めてみることにした。
それぞれが今までに生み出した作品という確かな「轍」である。
これを振り返り,自らの本当の姿を受け止め,これから進んでいく方向を見出したい。」

山田凡雄,木脇政敏,峯元宏誌,日高和俊,宮田誠
本展は上記5名の作家による作品展です。
ここに作家からの作品展へのコメントをご紹介いたします。

山田凡雄(やまだつねお)【鉛筆画】
「1人1点以上出品」という病棟文化祭の割り当てに無芸の私が苦し紛れの思いつきて描いたのが始まりだった。2000年にその文化祭は終了したが,年賀状に絵を使用するようになり毎年の課題は今も続く。今回は人手にある作品を集めての出品だが,数年ぶりに並べて見て自分なりの達成感と充実感を得ることができた。これからは内容よりも描き続けるということを自分に課せられたような気がした。

木脇政敏(きわきまさとし)【油彩画】
今年で闘病生活30年。その中で絵画に出会い,療友たちと昭和58年に南日本新聞社ロビーで絵画3人展を,翌年には我が生まれ故郷・徳之島で個展を開くことができた。当初は両手に絵筆を持ち描いていたが,13年前から足で描いている。本当に未熟な作品ばかりですが,一つでも心に残るものがあれば嬉しく思います。

峯元宏誌(みねもとひろし)【油彩画】
軽い気持ちで始めた油絵がこれほど私にとって大きな位置を占めるとは思わなかった。絵を描いている時は何もかもを忘れられる。気が向いたときだけ描くため,約15年のキャリアの割には作品数は少なく40枚程度しかない。そのうちの20枚をここに展示した。7,8年前から筆を持てなくなり,現在は口にくわえて描いている。小品が多く迫力に欠けるが一枚でも心に響くものがあれば嬉しいのだが…。

日高和俊(ひだかかずとし)【CG画】
昭和43年1月8日生まれの38歳。年を重ねる度に額も広がり今や父といい勝負。気管切開をして寝たきりとなり14年になるが,その中で絵との出会いが私を支えてくれている。絵はPCで描いているが,キャンバスがPC画面に,筆がマウスに変わっただけのことでそれ以外は他の絵と同じだと思って毎日描いている。

※)1998年桜島CGコンテストにて特選を受賞
日高さんの受賞作品はじめ他の作品はこちらでご覧になれます→ ✩ 

宮田誠(みやたまこと)【油彩画・鉛筆画・CG画】
「顔に似合わん絵を描く」。これは秀敏先生(南九州病院院長)が病室を訪れたお客様に対して,僕を紹介する時に必ず付け加えられる言葉です。「天は二物を与えず」とはよく言ったものです。僕が油絵の絵筆を初めて手にしたのは確か二十歳の頃でした。あれから十数余年,今では絵筆をマウスに持ち替え,キャンバスの代わりにパソコン画面に向かう日々を過ごしています。

< 会  期 >:平成17年9月3日(土)~27日(火)
< 会  場 >:三宅美術館2階絵画展示室
<入館料>:無料

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時系列を追っていくにしたがって,筋力低下のため作品は小さくタッチも荒くなりますが,
作品が小さくなるほどそこに凝縮された想いは力強く,見るものがきんと地に足をつけて
向かい合わなければ呑み込まれてしまうほど「生きる」ことへの真摯な姿勢が伝わってくる
作品群です。 ぜひこの機会にご覧ください。