ステンドグラスワークショップを開催しました。

「TANIYAMA ART SCENE」展関連イベントの一環で、7月21日(日)にステンドグラスワークショップを開催しました。
講師は谷山在住のステンドグラス作家・田中千紘先生です。

はじめに、展示会場にてステンドグラスの歴史や出品作品『海の星』について解説を行っていただきました。

「海の星」

本作品は、枕崎駅近くの丘の上にあるカトリック教会を訪問した際にインスピレーションを得た作品だそうです。
花が咲き誇る丘の上に建てられた教会や2本のオリーブの木(訪問時に植樹)、星空や海のイメージ、教会を見守る天使といったモチーフがちりばめられています。
なおタイトルの由来は、教会の別名が『海の星』であることに由来しています(カトリック系教会にはしばしば別名があるそうです)。

ステンドグラスの制作技法はケイム(溝のある鉛線)にガラスをはめ込む技法と、銅箔のテープをガラス側面に巻いてはんだ付けでつなぎ合わせる技法の2種類がありますが、本作品は両方の技法で構成されています。
また管状のガラスを刻んだものをガラス窯で焼いてつなぎ合わせたり、魚の形の金属パーツをガラスの中に焼き込んだりして制作されたオリジナルのガラスも使用され、見どころの1つです。

次に、実践編ということでサンキャッチャーもしくはトロフィーを制作いただきました。

ガラスを選んで、レイアウトを考えたのち

はんだづけを行うと、光り輝くミニステンドグラスが完成しました。

なおワークショップは終了しましたが、8月2日(金)、「TANIYAMA ART SCENE」展関連イベントとして担当学芸員によるギャラリートークを14時より開催いたします(要入館料)。
展示作品や谷山で活躍する美術作家さんについて詳しく知りたいという方はぜひご参加ください。

展示中作品一覧

・夏季企画展「TANIYAMA ART SCENE」展示作品は下記のとおりです。

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・焼物展示室の展示作品…準備中
 長太郎焼コーナーの入れ替えを行いました。

・その他展示中の絵画作品は下記のとおりです。
 「いのちの誕生Ⅱ」前畑省三、2014年
 「道」中間冊夫、1983年
 「人物」河瀬正幸、制作年不詳

 なお、「TANIYAMA ART SCENE」会期中は海老原喜之助作品の展示はございません。ご不便をおかけしますが、ご理解のほどお願い申し上げます。

鹿児島情報高校の生徒さんが来館されました

7月3日(水)、美術の授業の一環として鹿児島情報高校の生徒さん19名が来館されました。
当館沿革や長太郎焼をはじめとする薩摩焼展示の紹介、「TANIYAMA ART SCENE」の作品紹介を行いました。

当館沿革の説明
薩摩展示室での解説
夏季企画展「TANIYAMA ART SCENE」作品紹介1
夏季企画展「TANIYAMA ART SCENE」作品紹介2

 皆さん初めて当館を見学されたとのことで、身近な場所で活動する作家さんの作品に感銘を受けた様子でした。

・身近なところにたくさんの素敵なアーティストがいることを知らなかった
・地元の作品に触れてみるのもいいなと思った
・綺麗さの中にもダイナミックさや生き生きとした感じがあり、谷山らしいと思った
といった声が聞かれました。

 また、薩摩焼の多様性や技術力に驚かれたようでした。

今回の見学をきっかけに、当館を身近な存在に感じていただけばと思います。

本日より

本日より「海老原喜之助・吉井淳二 誕生120年-郷土画壇を支えた友情展-」が始まりました。志布志高校時代からの友人で、共に鹿児島画壇の発展に尽力した二人の作品をご覧下さい。

抱瓶(だちびん)
沖縄で使用される携帯用の陶器の酒瓶。肩からひもで吊るし、腰に当てやすいように三日月形に反っています。

また、今年没後20年を迎える沖縄初の人間国宝 金城次郎の作品展も併せて開催しています。
金城が焼物に描くおおらかな魚たちは「笑う魚」と賞され、金城の代名詞になっています。沖縄ならではの焼物と自由に泳ぎ回る魚たちをご覧下さい。

所蔵品展 展示作品のご案内

所蔵品展「四季の使者―画家をとらえた草花たち―」および「花に彩られたやきもの」、海老原喜之助コーナーにて下記の作品を展示中です。

※海老原喜之助「雪景」「男の顔」「スケート」は、現在展示しておりません。

身近にある長太郎焼⑦

鹿児島市清水町にある多賀山公園は、
矢上氏の一族,長谷場氏が1053年頃に築いた山城「東福寺城」跡地として、
また、日露戦争でバルチック艦隊を日本海海戦で全滅させた
鹿児島の生んだ聖将東郷平八郎の墓があることで有名です。

多賀山の頂上には東郷元帥の銅像が建っています。

海(錦江湾)を見下ろすように佇んでいます。

その銅像の下の広場には元帥東郷平八郎の墓があります。

実際に東郷平八郎が眠っているのは多磨霊園ですが、こちらには遺髪が安置されています。
昭和9年7月18日夜8時に公会堂(現鹿児島中央公民館)におて納棺祭、
翌19日朝6時30分から出棺祭が執り行われたそうです。

そして、その東郷元帥の遺髪を納める遺髪壺が、初代長太郎によるものなのです。

鹿児島朝日新聞(現南日本新聞)の昭和9年7月18日朝刊では、
「白薩摩焼の東郷元帥遺髪壺ー高さ九寸直径五寸五分」
の見出しで以下のように紹介されていました。
「世界的聖雄東郷元帥尊い遺髪を入れる納髪壺は
谷山町の有山長太郎氏が丹精を込めて謹製せるものであるが
釉質は白鷺の如く純白で、高さ九寸直径五寸五分の立派な白薩摩焼である。
之を白羽二重で包んで銅線を以て結び
其の着け目をハンダーで着ける筈である」
*九寸…約27㎝ 五寸五分…約16.5cm

また、同日の鹿児島新聞朝刊によると、
「表面に 昭和九年七月十八日謹葬 元帥東郷平八郎遺髪 鹿児島県 鹿児島市
と刻み込まれている」
とあります。

(長太郎焼の遺髪壺:昭和9年7月18日鹿児島新聞朝刊より)

長太郎焼というと、今までご紹介してきたような赤褐色の焼物をイメージしますが、
初代長太郎は、晩年まで注文があると立派な白薩摩焼の品も焼いていました。
今回は、身近な長太郎焼というより、意外な長太郎焼のご紹介でした。

身近にある長太郎焼⑥

本日ご紹介する身近な長太郎焼は、谷山支所の陶銘版です。
こちらは鹿児島市立谷山小学校前にある谷山支所です。


道路に面した正面玄関の生垣に「鹿児島市役所谷山支所」という銘板があります。

この陶銘板も長太郎焼です。
でご紹介した如意山清泉寺長太郎焼窯元の有山明宏氏によるものです。
明宏氏の父で二代長太郎正夫は、一枚板で製作したかったようですが、
割れてしまうリスクを考慮して現在の一文字ずつの形になったそうです。

「この一品」より⑥

「開窯120年長太郎焼展」からご紹介する長太郎焼の「この一品」は今回が最終回となります。
最後は指宿長太郎焼窯元より、次世代の長太郎焼を担う二人の若手作家 有山勝英(かつひで)氏と有山史洋(ふみひろ)氏の作品をご紹介します。

左から有山勝英氏、有山史洋氏、有山禮石氏(指宿長太郎焼窯元窯主)

2019年10月10日付 掲載承諾番号「19-3966」(朝日新聞に無断の転写は禁じられています)

「この一品」より⑤

本日は、如意山清泉寺長太郎焼窯元の有山明宏氏の作品「蓏(ら)」をご紹介します。

明宏氏の作品には、伝統的な釉薬かないろ(鉄釉)の作品をはじめ
天目釉シリーズ、赫陽(かくよう)シリーズ、そしてこの蓏のシリーズがあります。
明宏氏の作品は、小細工はせずフォルムで表現しており、ご本人同様、大きくゆったりとした造形が特徴です。2019年10月3日付 掲載承諾番号「19-3933」(朝日新聞に無断の転写は禁じられています