6月9日は何の日?

本日6月9日は椋(むく)の日です。
開館準備委員や初代理事を務めるなど、当館との縁も深い児童文学作家 椋鳩十は今年で生誕120年を迎えます。
当館では、「美術と文学の対話」展にて椋鳩十と関わりの深い画家の作品や椋鳩十の書、および「椋鳩十ゆかりの窯元展」にて椋鳩十の愛した薩摩焼の各地窯元の作品を展示しています。
椋鳩十と鹿児島の美術工芸との深い結びつきに関心を持っていただければ幸いです。

長尾淘太(椋鳩十と長年にわたり交流)・椋鳩十作品コーナー

「椋鳩十ゆかりの窯元」作品紹介②

「錦手釣鐘と弁慶像」
12代沈壽官
明治20(1887)年~30(1897)年

園城寺(滋賀県大津市)所蔵の梵鐘にまつわる伝説、「弁慶の引き摺り鐘」に題材をとった捻物作品です。
弁慶の凛々しい表情や梵鐘、甲冑の質感など、ディテールの細かさが強い存在感を放っています。

首・腕・胴などパーツ毎に型取り技法で制作したのち、最後に手作業で貼り合わせ仕上げるつくりとなっています。

※「弁慶の引き摺り鐘」伝説とは
比叡山と園城寺が争っていたころ、弁慶が鐘を比叡山まで引き摺って強奪。撞いてみたところ、「イノー・イノー(関西弁で帰りたい)」と響いたので、怒って鐘を谷底へ投げ捨ててしまったという。

弁慶が鐘を引き摺る姿は、浮世絵や焼物など日本工芸のモチーフの一つとなっています。
余談ですが園城寺の鐘は高さ199㎝と大型で、身長2m余りとされる弁慶が「引き摺って」運んだというのも納得です。

「椋鳩十ゆかりの窯元」作品紹介①

昨年度初めて生産量全国1位を達成した鹿児島茶。
早くも新茶が待ち遠しい時期となりました。
新茶の繊細な味わいを楽しめそうな、そんな作品を紹介します。

白薩摩呉須手山水画茶器
初代長太郎 明治32(1899)年~昭和15(1940)年頃

独自の黒薩摩を確立したことで名高い初代長太郎ですが、元々白薩摩の絵付師を務めていたこともあり、優れた絵付けの作品も多く残しています。
湯飲みは直径6㎝×高さ5㎝、急須は最大径8㎝(※取っ手部分を除く)と小さく、丁寧なつくりのうつわに山水画が繊細かつ穏やかな筆致で描かれています。
こちらの茶器で味わうお茶はさぞ美味しかったことでしょう。

べっ甲とは

べっ甲手柑子口花瓶(平佐焼)

現在開催中の「平佐のべっ甲と盃台」展では、平佐焼の「べっ甲釉」が施された作品を9点展示しています。

べっ甲釉とは「べっ甲」に模した釉薬のことですが、みなさん、この「べっ甲」ってご存じでしょうか?

昭和の時代までは眼鏡のフレームや櫛などに使われている身近な素材でした。

この「べっ甲」とは、海亀の一種である「タイマイ」の甲羅や爪などが素材となっています。
昔はタイマイのはく製を飾っているお宅などありましたので、見たことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

焼き物のべっ甲釉がべっ甲とどれだけ似ているか、ぜひ実物を見に来てください。

※現在タイマイは乱獲による絶滅危惧種となり、ワシントン条約でべっ甲は取引が制限されています。

平佐焼の盃台

こちらは平佐焼の盃台(はいだい)です。
盃台はお酒を飲む盃を載せる器のことで、
壺状になっているのは
酒を勧められた時に前の残りの酒をこぼすためです。

平佐焼は鹿児島では珍しい磁器の焼物です。
その白い肌に染付で模様が施されているのですが、展示している47個のどれをとっても同じ柄はありません。
中には色絵の盃台もありますので、ぜひお気に入りの1点をみつけて見て下さい。

無事終了いたしました

昨日をもって「没後40年寺尾作次郎美学の系譜」展は無事終了いたしました。
多くの方にご来場いただき、ありがとうございました。
寺尾作次郎をご存じなかった方。
陶芸家として知っていた方。
記憶の彼方から呼び起こして思い出してくれた方。
多くの方々から嬉しいご感想をいただき、
再び寺尾作次郎ブームが訪れることを心密かに期待しています。

河童像は川内歴史資料館で常設展示されておりますので、
また、そちらにもぜひ足をお運び下さいね。

いよいよ最終日です

いよいよ本日「没後40年寺尾作次郎美学の系譜」展の最終日です。
最後にご紹介するのは河童の作品たち。
旧川内市役所に設置されていた噴水の河童像をはじめ、河童をモチーフとした作品が多く残されています。

寺尾作次郎の出身地、北九州市の若松区は古くから河童伝説が有名で
現在の若松区マスコットも河童です。
若松出身の芥川賞作家・火野葦平の旧邸「河伯洞」も、河童の棲む家という意味だそうです。

河童の徳利と瓜・キュウリの盃

きっと幼い頃から河童が身近な存在だったのでしょう。
どこか憎めない、愛らしい河童たちに会いに来て下さい。

「没後40年寺尾作次郎 美学の系譜」展は明日までです

寺尾作次郎は図案家でもあったので、常に懐に図案帳を忍ばせ、思いつくまま鉛筆を走らせていたそうです。
ご家族のところに大量に残されてている図案帳の、ほんの一部ですがご紹介しています。

また、明治時代、大正時代に作品として発表された図案も展示しています。
令和の時代でもまったく古さを感じないおしゃれな図柄ばかりです。
撮影は自由なので、お気に入りの図案が見つかったら、写真に撮ってみてくださいね。

KTSライブニュースで紹介されます

先日、KTS鹿児島テレビのKTSライブニュースから
「没後40年寺尾作次郎 美学の系譜」展の取材がありました。
アナウンサーの美川愛実さんは美術に大変造詣が深くて
こちらのつたない説明を上手にまとめてくださいました。
放送は12月5日(木曜日)18:00~の予定です。
ぜひご覧下さい。