菓子職人 坂元栄

「薩摩伝統工人伝」で紹介されている工人は12名。
その中の一人、坂元栄(明治39~昭和48)は、鹿児島市上町に生まれた菓子職人です。
和菓子、洋菓子、どちらも名人として知られた職人だったそうです。
鹿児島や東京の菓子店で修行をした後独立。
戦後は松原神社名物のアルヘイ糖のタイを復活させた職人でもあります。
アルヘイ糖とは砂糖細工の菓子のことです。一般的にアルヘイ糖を作る職人は、それ専門で他の菓子は作らなかったそうですが、坂元栄はオールラウンダーで、何を作らせても名人だったそうです。

鹿児島市鴨池1丁目にある「とら屋」さんは、当時は鴨池動物園のお客さん向けの食堂でしたが、坂元栄が就職して菓子を提供するようになると、地元でも評判の菓子屋となりました。
最近では、映画「六月燈の三姉妹」(2013年)で三姉妹の実家「とら屋」として登場しています。
ちなみに、「とら屋」という名前は、お店の前が動物園のトラ舎で、お店からトラが見えたことから名付けられたそうです。


今では和菓子が中心で、こちらは、坂元栄がいた頃からある「餅入りどらやき」と「とらんこ饅頭」です。