9月12日、没後50年海老原喜之助展 「進化しつづける筆致」の一環として、古家良一先生(元熊本県立美術館学芸課長)をお迎えしてギャラリートークを行いました。古家先生は熊本ゆかりの画家の企画展を多数手掛けられ、海老原喜之助研究の第一人者です。
今回のギャラリートークでは、フランス滞在期、帰国後~終戦期、熊本在住期、逗子・フランス在住期の4つの海老原の画風の画期に沿い、作品解説を行って頂きました。
はじめに、フランス滞在期の画風について、海老原初期の白と青を用いた画風に至った経緯や、雪景シリーズの画面構成の特徴について解説いただきました。当館人気作品の「スケート」の構図については、とても興味深い分析で印象的でした。
ついで、帰国後から終戦期までの画風について、対象物の手脚が省略されているのに関わらず、一見では気づかないトリッキーな技法や、それを支える色使いについて種明かしをして頂きました。
また、熊本在住期の画風については、このころ確立した海老原独特のデッサン方法について解説いただきました。弟子への線に対する指導のエピソードから、海老原の線への思いの強さをうかがい知ることができたかと思います。次いで作品「蝶」を題材に、幾何学的な画面構成の技法や色の効果、線の意味などを、実演を交えて解説頂きました。
最後に、逗子・フランス在住期の画風について、作品を支える補色関係の色使いと、画面構築の見どころを中心に解説いただきました。
没後50年海老原喜之助展「進化し続ける筆致」は、9月15日(火)迄です。ダイナミックな造形・色彩により、見る人を独特の世界観へと誘う、海老原喜之助の絵の世界に足をふみ入れてみませんか。