前畑省三米寿記念展「旅の記憶」 開催のお知らせ

「旅の記憶」展リーフレット

 独立美術協会会員の画家として、また美術教員として70年近く鹿児島の美術界に携わってきた前畑省三の足跡は、鹿児島の近代美術界の軌跡でもあります。
 その長きにわたる画業において、前畑はスケッチブックにペンを走らせることを習慣とし、世界・国内各地の旅先の風景や日常風景を描いてきました。
 本展では未発表の膨大なスケッチブックから約135点を展示いたします。米寿を迎える節目の年に、画家の「旅の記憶」 を共に辿ってみませんか。

会 期 | 2023年1月7日(土)~2023年3月12日(日) ※水曜日休館
会 場 | 三宅美術館2階絵画展示室
入館料 | 一般500円、70歳以上・障害者手帳保持者100円、大学生以下無料
主 催 | 一般財団法人三宅美術館
協 力 | 『令和4年度 新たな日常での文化芸術活動支援事業(鹿児島県)』

「カンヴァス・フライト展vol.1 絵画で楽しむ世界旅行」のご案内

新型コロナウイルス感染症にともない旅行が制限される昨今、当館では年間シリーズ展「カンヴァス・フライト」を開催し、国内外の美しい風景を描いた作品で、お客様に旅行気分のひとときをご提供致します。
第1弾となる「絵画で楽しむ世界旅行」展では、世界の名所、旅先の人々を描いた絵画や、旅を連想させるモチーフの焼物を紹介します。

会期:4月1日(木)~6月29日(火)

展示作家:稲葉実 栗原喜依子 桜井寛 藤田謹三 鳥海青児 長尾淘太 前畑省三(50音順)

「海から生まれた作品展」より「オオイソバナ」と「珊瑚礁」

本日ご紹介する作品は前畑省三氏の油彩画
「オオイソバナ」(左)と「珊瑚礁」(右)です。
maehata
両作品とも鹿児島の海で見ることのできる風景です。
作品右の珊瑚礁はエダサンゴです。
作品上部に水面のさざ波が描かれているように
水深の浅いところでシュノケーリングでも見ることができます。

作品左のオオイソバナ。これもサンゴの一種になります。
少し水深の深いところへいかないと見るとはできませんが
鹿児島の海にも多く生息しています。
水中では赤い光(太陽光)が届かないので黒っぽく見えますが
ライトを当てると本作品のように真っ赤な色で浮かび上がりとても幻想的です。

お盆が過ぎてそろそろクラゲも出てくる頃で,海から足が遠のきますね。
当館の作品で海へ行った気分に浸ってみませんか。

前畑省三氏『巴里展Part3』画集

前畑省三氏(独立美術協会会員)の画集『巴里展Part3』を
当館でご購入いただけるようになりました。
ご購入ご希望の方は受付にお声をかけて下さい。

前畑省三『巴里展Part3』¥800

パーントゥとは

前畑氏の近年の作品テーマであるパーントゥですが、
パーントゥとは何なのか、ちょっとご紹介いたします。

「パーントゥ」とは沖縄県宮古島の野尻と言う地区で行われている厄除けの祭り
パーントゥプナカに登場する3体の仮面神のことです。方言で「パーントゥ」とは
異様な形相をしたもの、お化け、鬼神、妖怪と言う意味があり、「プナカ」とは
祭祀という意味があるそうです。
このパーントゥ神は全身にシイノキカズラ(つる草)を巻き付け、その上から悪臭
のする泥を塗り、頭にはマータと呼ばれる草葉を結んだ厄除けをさしています。
手には仮面と杖を持っています。そして、人々に泥を塗り付けて、害厄を追い払い、
無病息災もたらしてくれるのです。
               参考文献:「島尻のパーントゥ調査報告書」
                     平良市教育委員会発行(昭和60年3月)

パーントゥには男性が扮するきまりとなっていますが、前畑氏の作品は祭りの儀礼を
行う神女とイメージを重ね合わせ女性がパーントゥに扮しています。

「前畑省三展つながる絆」 後期ギャラリートーク

本日は午後2時から前畑氏による後期のギャラリートークが開催されました。
前回に引き続き、たくさんの方々にお越しいただき、ありがとうございました。

今回のテーマは「前畑省三の画歴をたどる」。
前期の地層シリーズでお若い頃のお話をたくさんして下さったので
今回は主にパリのお話と独立美術協会の師である海老原喜之助と中間冊夫とのエピソード
そして、文部科学省から補助金を頂いて1年かけて自ら現地で調査をされた
沖縄県の民俗儀礼パーントゥの話をして下さいました。

前畑氏は南日本美術展でパリ賞を受賞され、その副賞としてパリのモンパルナスにある
アカデミー・ド・ラ・グランド・ショミエールに1年留学されました。
ここはモディリアニやジャコメッティも通い、
前畑氏と同じ鹿児島出身の画家 黒田清輝や和田英作も
この学校でラファエル・コランの指導を受けていました。

パリの空気がとても肌に合ったそうで
以来、長期休暇がとれるたびにパリへ出向き、
パリの街や人々を描き続けていらっしゃいます。

モンパルナスのヴァヴァンのカフェでくつろぐ前畑氏。
全く違和感ありませんね。

「前畑省三展つながる絆」後期スタート

「前畑省三展つながる絆」の後期展示が始まりました。
前期の前衛的な地層シリーズから一転、
地層シリーズの前身となる学生時代の作品から、
地層とそこで生きる人々を描いたボラの人シリーズ、パリ留学中の作品
そして現在の大きなテーマであるパーントゥシリーズ、神女誕生シリーズを
時系列で展示しています。

それでは、前畑氏の簡単な年譜をご紹介いたします。

1936年 鹿児島市に生まれる
     伊集院高校から鹿児島大学教育学部美術科へ
     在学中、南日本美術展初入選、九州地区大学連合美術展佳作賞

1960年 「白い地層」南日本美術展奨励賞
     「地層・白」独立展初入選

1962年 「地層」南日本美術展南日本新聞社賞

1969年 「ボラの人」南日本日美術知事賞

1976年 「すわる」南日本美術展パリ賞
     翌年から1年間パリへ留学

1981年  鹿児島県芸術文化奨励賞

1985年 「神女誕生・禊(みそぎ)」「神女誕生・再生」独立展小林賞

1986年  パリ留学

1988年 「神女誕生・祈り」「神女誕生・祖神」独立展小島賞

1989年  「神女誕生・祀」「神女誕生・神謡」独立展独立賞

1990年  独立展会員推挙

2006年  南日本文化賞芸術部門受賞

現  在  鹿児島女子短期大学名誉教授

前畑氏の年譜と併せて、作品をご覧になってみて下さい。

「前畑省三展つながる絆」 前期ギャラリートーク

本日、午後2時より前畑省三氏によるギャラリートークが開催されました。
テーマは「地層シリーズ」について。

地層シリーズはご覧いただくとよく分かるのですが、
とても厚塗りで、展示も一苦労する程重たい作品です。

それは、2、3はある厚く塗り重ねた絵具の重量と
それを支えるためキャンバスではなく板に描かれているからです。
更に地層の質感を出すため、絵の具に砂や木炭、布など様々な素材が混ぜてあります。

そして、今回のギャラリートークで初めてお話し下さったのですが
当時若くて経済的に大量の油絵具を調達できなかたので
地層シリーズで使用している画材は、油絵具に多くのペンキを混ぜたものなのだそうです。

前畑氏のほとばしる若きエネルギーが塗りこめられた地層シリーズは
5月29日(火)まで展示しております。

三宅美術館開館20周年記念企画「前畑省三展つながる絆」

本日より三宅美術館開館20周年記念企画「前畑省三展つながる絆」が始まりました。

海老原喜之助の絵に惚れ込んだ父 三宅力が「地域の方々にも作品に親しんで頂きたい」と
美術館を開館してから20年。これも全て、今日まで支えて下さった皆様方のおかげです。
これまで以上に愛される美術館を目指して、私たちはこれからも努力し続けます。
さて、三宅美術館開館20周年企画「前畑省三展つながる絆」ですが、
前期(4/12〜5/29)は前畑氏の代表作品「地層シリーズ」を一堂に展示いたします。
続く後期(5/31〜7/16)は、学生時代の作品から近作「パーントゥシリーズ」までを展示し、
前畑氏の画歴をたどります。
また前畑氏と固い絆で結ばれている、独立美術協会の師 海老原喜之助と中間冊夫の代表作も
併せてご紹介します。どうぞお楽しみください。
                             三宅美術館 館長 三宅智


【 会  期 】前 期:平成19年4月12日(木)〜5月29日(火)
       後 期:平成19年5月31日(木)〜7月16日(月・祝)
      休館日:水曜日

【展示構成】前期:初期作品である「地層シリーズ」を中心とした構成
      後期:学生時代から現在までの時系列に沿った展事構成

【 会  場 】三宅美術館2階絵画展示室

【 入 館 料 】一般300円、小中学生と70歳以上100円

【作品解説】前畑省三氏によるギャラリートーク
      <第1回>
      内容:「地層シリーズ」について
      日時:5月20日(日)14:00
      会場:2階絵画展示室
      料金:入館料のみ

      <第2回>
      内容:「前畑省三の画歴をたどる」
      日時:6月10日(日)14:00
      会場:2階絵画展示室
      料金:入館料のみ

【イベント】<ミュージアムコンサート>
      内容:Mamiさんによるクラリネットコンサート
      日時:5月3日(木)14:00
      会場:2階絵画展示室
      料金:入館料のみ