12月12日、指宿長太郎焼窯元陶主・有山禮石さんの第1回やきものお話会を開催しました。
第1回では、「焼物の基本の話」と題し、焼物の製作工程、焼き物の各部の名称、焼き物の鑑賞の観点・見どころについて解説いただきました。
まず焼物の製作工程についてお話を伺いました。
ゼーゲル式、三角座標といった適切な粘土・釉薬配合比率を導き出すための工夫や、指宿カオリンに含まれるみょうばん成分の扱いの難しさに関するお話、また鹿児島には瀬戸、有田等の大窯業地のように粘土を産出する大きな山がないからこそ、地域ごとにそれそれ性質の異なる地元の粘土を用いた個性豊かな焼物ができる、という粘土の産地と陶芸の関係性のお話が印象的でした。
次に、茶入れ・茶碗・黒千代香など実物の長太郎焼を例にとりながら、各部の名称や使いやすさのための工夫についてご解説頂きました。黒ジョカの底の足を、注ぎ口の真下からやや外してつけることで酒を注いだしずくが食卓に落ちないようにした工夫や、網を入れても蓋がしっかり閉まる急須のつくりに、皆様改めて感銘を受けたようでした。
最後に、指宿長太郎窯の制作の過程を撮影したDVDを鑑賞しました。粘土の精製、土練りや、禮石さんの代表作である「氷裂文シリーズ」の製作の様子に皆様熱心に見入っていました。
次回第2回やきものお話会は定員に達しましたためご予約を締切ましたが、第3回やきものお話会〈テーマ:近代陶芸と現代陶芸〉は申込受付中ですので、参加ご希望の方はお早めにお申込みください。