【展示終了】所蔵品展「動物たちのおしゃべり」開催のお知らせ

〈企画展名〉動物たちのおしゃべり展
〈会期〉2022年7月16日(土)~10月2日(日)
〈概要〉
 人類最古の絵画・洞窟壁画に動物が描かれていたように、美術と動物は深い関わりがあり、また現代でも多くの芸術家が動物をモチーフとして創作活動を行っています。
 本展では所蔵作品の中から、馬・牛・猫・鳥といった動物たちを個性豊かに描いた絵画作品を展示します。家畜と心を通わせた子ども時代の思い出をのびやかに表現した森長武雄、ふるさとの海で慣れ親しんだ魚やカニを生命力たっぶりに描いた中間冊夫の作品などが見どころです。
 動物の質感や表情表現等にみられる画家の個性を楽しんで頂ければ幸いです。


 

庭の花々に魅せられて~四季の使者展作品紹介①~

平年と比べて12日遅れで梅雨が到来しました。
当館すぐ近くの慈眼寺公園のアジサイも見ごろを迎えています。

当館展示室でも、アジサイが見ごろを迎えています。

〈花(アジサイ)1954年頃 矢澤一翠〉

 矢澤 一翠(やざわ いっすい)は、徳之島に生まれ、県内高校や鹿児島短期大学で後進の育成に尽力するとともに、鹿児島創元会を創設するなど鹿児島の美術界に多大なる貢献を果たしました(当館収蔵作品はコチラ)。主に漁港や人物、台湾の風景を描いた一方、ポピーやアネモネ、パンジーなど自宅の庭先の花を描いた作品も数多く残しています。

 庭先のアジサイを花瓶に活けて描いたのでしょうか。今が盛りとばかりに咲き誇るアジサイの花房が画面左隅に、枯れかけた花房が中央に描かれた、大胆な構図となっています。
 左隅の花房では花びら一枚一枚が油絵具で厚く立体的に描かれ、瑞々しさを感じさせるのに対し、中央の花房の花びらは縮れて茶色に変色しつつある様子が細かく描き込まれており、命あるものの輝きと儚さが一枚の絵で表現されています。花びらや葉脈の力強い表現・大胆な構図・対比の効いた色遣いにより、実際の大きさ以上の存在感を放つ作品です。
 矢澤はアジサイを描いた作品(本作とは別作品)により第9回南日本美術展(1954年)で最高賞の知事賞を受賞していており、アジサイは思い入れのある花の一つであったと思われます。

 アジサイのほか、薔薇やアネモネ、パンジー、くちなし、タデ、肥後椿と様々な花々を描いた作品を7月10日(日)まで展示しています。ぜひご覧ください。