帝釈寺跡


中山町滝ノ下にあった帝釈寺は皇徳寺の末寺で
開基は正平22年(1367年),開山は来船来提大和尚といわれています。
寺内には観音堂や不動明王があったそうです。

廃仏毀釈の後,最近まで放置されていたためかなり荒廃していますが
跡地の草祓いと石塔の復元が行われるということで
ちょっとしたお手伝いを兼ねて見学をさせていただきました。

散乱した石塔には木の根が絡まり150年という年月を実感させられます。

墓石の苔を丁寧に取り除いて行くと,ベンガラの彩色が残っていました。

中島喜右衛門平利充 享保7年銘の墓

岩永八兵衛重貞 享保6年銘の墓

山上にある石祠

五輪塔は人丈よりも大きく2mほど。
様式から鎌倉南北朝時代のものでは,とのことです。

谷山諸記によると
「一帝釈寺地罷仮屋ヨリ亥ノ方壱里余。
但寺領高寄附高無御座開基年号月日相知不申候
開山来船撮大ヨリ覚峯迄拾三代当分無住
右寺内
一観音堂一宇 但仏躰木立像高サ七尺余日羅之作之由
右寺内
一不動明王一躰但木立像高サ三尺二寸 脇立二躰 弐尺三寸ツツ日羅作之由」
とあるので,慈眼寺を開いた日羅上人作の仏像が数体あったのでしょう。
地区の民家に「…大浦山帝釈寺住…」と記された
高さ19cmの韋駄天像が保管されているそうです。
*「大浦」は現滝ノ下のこと