今から328年前の今日
松尾芭蕉は秋田県象潟町の汐越(塩越)にてこの句を詠みました。
汐越の浅瀬の鶴たちが,海水のしぶきに はぎ(=脛すね=ひざ下からくるぶしまで)
をぬらしながら餌をついばむ姿に涼しさを感じた一句です。
鶴は明治時代までは全国で普通に見られる鳥でした。
鹿児島はナベヅル、マナヅルの90%以上が出水市で越冬するため
今でも大変なじみの深い鳥ですが,現在他の地域では山口県周南市八代以外は
ほとんど見ることはできません。
そして…鶴は少なくとも平安時代から食材として重宝されていました。
17世紀に書かれた『本朝食鑑』にも,一番おいしいのはナベヅル、マナヅルと記載があるそうです。ちなみに絵画に描かれることの多い丹頂鶴は,見栄えはいいですが肉質が硬く食用には向いていないそうです。
「おくのほそ道」から少し話がそれてしまいましたが
今は見ることのできない,秋田の海辺に降り立つ鶴の姿を思い描きながら
この作品をご覧になってみてください。