展示中の「赤い桜島」「青い桜島」(前畑省三 作)の衣替え(額装交換)のため
額装職人の中徳氏に新しく額縁を作って頂きました。
実は、今まで入っていた額装は‘仮縁’といって
取りあえず入れておく簡易的な額縁でした。
最近では額装に入れないことを前提とした作品や
あえてキャンバスを壁に直に掛ける展示方法がとられたりしています。
作品の雰囲気を壊さないし、軽いし、経費も抑えられ、それなりの利点も多いのですが
当館では全作品 額に入れています。
それは、額装することで作品保護になるからです。
外気に直接触れることからの保護、紫外線からの保護、
観覧者からの保護(間違って作品にぶつかったり、作品に向かってくしゃみなどを
してしまった場合、直接作品に害が及ばないように)
経年による歪み等からの保護、等々です。
しかし、この額縁が自己主張しすぎて作品の雰囲気に影響してしまっては本末転倒。
あくまでも縁の下の力持ちでなくてはなりません。
そのさじ加減を上手に図って、作品に見合った
あるいは作品をより引き立てる額を作って下さるのが〔空間装飾〕の中徳氏です。
例えば、今展示している「地層 合」(前畑省三 作)はシラス地層を描いた作品です。
この作品の額装は一見何の変哲もない黒いシンプルが額装ですが
よーく見ると作品との間に隙間があり、作品が少し浮き出て見えます。
まさに地層剥ぎ取り標本のようです!
抽象的に地層を描いた作品を地層剥ぎ取り標本のごとく額装することで、
見る側にそのテーマが明確に伝わってきます。
芸術の秋、県内でも様々な企画展が開催されています。
作品鑑賞の際、額装にもちょっと目を向けてみてはいかがでしょう?
中には作家が自分で作った額装もあるんですよ。