「椋鳩十ゆかりの窯元」作品紹介②

「錦手釣鐘と弁慶像」
12代沈壽官
明治20(1887)年~30(1897)年

園城寺(滋賀県大津市)所蔵の梵鐘にまつわる伝説、「弁慶の引き摺り鐘」に題材をとった捻物作品です。
弁慶の凛々しい表情や梵鐘、甲冑の質感など、ディテールの細かさが強い存在感を放っています。

首・腕・胴などパーツ毎に型取り技法で制作したのち、最後に手作業で貼り合わせ仕上げるつくりとなっています。

※「弁慶の引き摺り鐘」伝説とは
比叡山と園城寺が争っていたころ、弁慶が鐘を比叡山まで引き摺って強奪。撞いてみたところ、「イノー・イノー(関西弁で帰りたい)」と響いたので、怒って鐘を谷底へ投げ捨ててしまったという。

弁慶が鐘を引き摺る姿は、浮世絵や焼物など日本工芸のモチーフの一つとなっています。
余談ですが園城寺の鐘は高さ199㎝と大型で、身長2m余りとされる弁慶が「引き摺って」運んだというのも納得です。

浦島太郎像

「描かれた鹿児島の名所」展では、
絵画の他に鹿児島の名所にちなんだ焼き物も数点展示をしています。
その中の1点が美山の沈壽官窯で焼かれた白薩摩の『錦手浦島太郎像』です。(高さ25)

なぜ、浦島太郎が鹿児島の名所と関係があるのかというと…
実は、砂蒸し温泉で有名な指宿の南端 長崎鼻には浦島太郎伝説があるのです。
長崎鼻には竜宮神社もあり、その目の前の浜には今でも海ガメが産卵に来るそうです。
浦島太郎はその浜辺から竜宮(琉球という説あり)へ向かったそうです。
ちなみに、沈壽官窯は乙姫様を所蔵していらっしゃるそうで

いつの日か再会できるといいですね。
心なしか、浦島太郎の仕草が乙姫様を探しているような…

浦島太郎像

「沈家伝世品収蔵庫」再開館記念

薩摩焼の名門、沈壽官窯より「沈家伝世品収蔵庫」のリニューアルを記念した
講演会のご案内を頂戴致しました。
NHK教育テレビ「日曜美術館」の司会を務められている、
姜尚中氏をお招きしての講演会を開催されるそうです。

【沈家伝世品収蔵庫開館記念講演会】
日時  平成23年4月17日(日) 午後2時より(受付 午後1時より)
会場  日置市立美山小学校体育館
講師  NHK日曜美術館 司会者 姜尚中氏
入場料・詳細についてはこちら

【沈家伝世品収蔵庫オープニングカット】
日時  午後3時半より
場所  沈壽官窯内 伝世品収蔵庫

新緑の眩しいこの季節に美しい美山の里で姜尚中氏のお話を聴き、歴代の作品を鑑賞する…
とても贅沢な時間が過ごせそうですね。