北山の火振り

【開催地】日置市東市来町養母 北山集落(北山納骨堂広場)
【開日時】平成24年8月15日 午後7時〜
【指 定】日置市指定無形民俗文化財「北山の火振り」

毎年8月15日に北山自治会で行われる「北山の火振り」を見てきました。

「北山の火振り」は
その昔、北山殿と梅木殿が戦いに敗れた北山殿の霊を慰め、
精霊を送る行事と無縁仏を供養するためだと言い伝えられている。
現在は北山集落の青壮年を中心に毎年8月15日納骨堂前で行われ200年以上の歴史がある。
(東市来町教育委員会の解説より抜粋)

この行事は‘つが’を振るので火振りとよばれています。
つがとは、15日の朝に集落の竹林から切り出された5m程の孟宗竹の先端に
松明がくくり付けられたものです。
昔は松の根っこを1年かけて集め、それを松明として使用していたそうですが
現在は材料の調達が難しく間伐材が使用されていました。

日が落ちると、納骨堂前広場に掘られた穴に火をつけた つが を立て、
集落の男性たちが180度の弧を描くように振り始めます。

10m四方ほどの小さな広場で何本ものつがが勢いよく振られ、
見ている私たちの目の前を松明の火が行き交い、火の粉が降り注ぎ、
最後は松明ごと落ち、迫力と緊張感のある送り火です。

このつがを立てる穴は、納骨堂となる前にお墓があった場所なので
毎年場所と数は同じで、つがを振る人はその家の方だそうです。
県外に出ている人も15日には帰ってきて、ご先祖様のために火を振るのだそうです。

ちなみにお墓があった時代はお墓の横につがを立て、
振る人は墓石の上に立って振っていたらしく
不安定で落ちたり、火が落ちても逃げられなかったり
怪我人が絶えなかったとか。

最後は広場の奥に作られた櫓に火をつけます。
櫓にはお餅を竹に付けたものが四方に飾られ
てっぺんは弓矢に象られています。
この矢は北山殿が戦に敗れた梅木殿の集落を向いているそうです。

お餅飾りを作るのは集落の女の子の仕事で
集落の各家庭で作っておいたお餅を
当日いただいて回り竹に付けるのだそうです。

火をつけると勢いよく燃え盛る櫓に青年がのぼり
縁起物の飾り餅を取りにいき勇猛さを証明します。
青年がゴーゴーと燃え盛る火の中から無事戻ってくると
周囲からは自然と大きな拍手がわきました。

毎年40本以上のつが振られるそうですが、今年は例年より少なかったようです。

最後は花火で締めくくりでした。