錦江湾の色

「桜島 海底に流れる時間」展も残すところ1週間あまりとなりました。

さて、今日は錦江湾の海の色のお話です。

写真展のチラシに掲載している「ミナミハンドウイルカ」と「アカオビハナダイ」の写真。
同じ錦江湾なのに海の色が違うことに気が付きましたでしょうか。

ミナミハンドウイルカは「青」
アカオビハナダイは「緑」です。

海の色というと普通イルカの写真のような青をイメージしますよね。
でも、なぜアカオビハナダイの方は緑なのか…。

錦江湾は季節によって海の色が変わり
青色は冬の色、緑色は夏の色、なのだそうです。

夏になると植物性プランクトンが豊富に繁殖し
その葉緑体が日光に透けて見えるので夏は海の色が緑色になるそうです。
出羽さんはこの錦江湾の夏色を「錦江湾Green」と名付けています。

私たちの日常にある四季折々の色に、地元ならではの名前を付けたら、
季節の移ろいが楽しくなって素敵ですね。

出羽慎一写真展『桜島 海底に流れる時間』

鹿児島在住の水中写真家 出羽慎一氏は、20年以上にわたり鹿児島の水の中に暮らす生き物たちを見続けてきました。
60万の人口を擁する鹿児島市。その目の前に広がる錦江湾は、桜島から降りそそぐ火山灰や人間の生活や生産から引き起こされる様々な問題を抱えています。
しかし、その水面へ一歩足を踏み入れると、そこにはたくさんの生き物たちが懸命に生き、いのちのきらめきに満ちた世界を作り続けていたのです。
本展は錦江湾に潜り続け、そこで暮らす生き物たちを見つけ続けてきた出羽氏による美しい写真と文章で構成されています。
水面の向こう側には私たち人間と同じ時間を共有するたくさんの生き物たちがいることを、そして私たちがその生き物たちの生活を脅かす存在に簡単になり得るものだということを作品は私たちに語りかけてくれます。

◇出羽慎一(でわ しんいち)プロフィール◇
昭和44年大阪府生まれ
鹿児島大学大学院水産学研究科修士課程修了。専攻は魚類の行動生態学。毎日のように海に潜り、魚の行動を追う日々を送る。
平成8年から鹿児島市水族館公社展示課職員として かごしま水族館オープンに携わる。
平成12年「ダイビングサービス海案内」を設立。鹿児島県内の海、川、池、湖をフィールドにダイビングガイドの傍ら、生物の生態撮影、生物調査の仕事に従事。
年間300日以上鹿児島の水中に潜る。
著書:「桜島の海へ 錦江湾生き物万華鏡」(南日本新聞社刊)
他に図鑑類への写真提供多数。
日本魚類学会・日本水産学会会員
ホームページ「鹿児島魚のぞき」

■会場:三宅美術館2階絵画展示室
■期間:平成23年1月29日(土)〜3月27日(日)
■開館:10時〜16時半(休館日:水曜)
■入館料:無料
小dewa