花筏と花筵

この数日の風で、当館駐車場に咲いている桜『御衣黄』も散り始めてしまいました。
美術館の玄関先には散った御衣黄が舞い、噴水の水面にもたくさん漂っています。

眺めている分には、そんな姿も非常にきれいなのですが、
お客様や施設をご利用の方々が行き交う場所でもあり、お掃除をしなければなりません。
しかし、今朝の風は少々強く、ほうきで掃くそばから次々と桜が散ってきます。
噴水の循環口に溜まった花も、水を詰まらせてはならない為に取り除かなければなりません。

少し億劫になりがちなお掃除ですが、桜の花だと優雅な気持ちで出来るから不思議です。

散った桜が水面に浮かび流れて行くのを筏に見立てていうことば『花筏(はないかだ)』。
花の散り敷いたさまを筵にたとえていうことば『花筵(はなむしろ)』。

排水口に溜まった桜を取り除き、駐車場に散った桜を掃き集める度に
『花筏』と『花筵』という言葉を想い描きながら過ごす一日です。