石垣群の里 大当

ここは南さつま市笠沙町片浦の大当(おおとう または うと)地区です。

100万個(石碑によると)の石が積み上げられた石垣群地区で
「にほんの里100選」にも選ばれています。

笠沙、坊津の海岸線は複雑に入り組んだリアス式で
海沿いに浜はほとんどが切り立った斜面で平地が少ないため
このように石垣を組んで住居を斜面に沿って上へ上へと造っていったのでしょうか。
それとも防風のために築いたのでしょうか。

過疎化、高齢化が進んでいますが今でもお住まいになっている方がいらっしゃって、
かなりの急勾配をご年配の方がゆっくりゆっくり登っていかれます。

今でこそ道はアスファルトになっていますが昔は階段も道も石畳だったそうです。

印象に残っているのは梅の花。
誰かがお住まいの庭先にも、
誰もいない住居跡や空地にも梅の木が1本ずつあり
主のいない場所で今でも変わらず咲き続けています。
きっとこの集落では梅の花を眺めて春の訪れを感じていたんだろうなァ
と当時の生活に想いを馳せてしまいました。

 

出羽慎一さん写真展

一昨年、当館で錦江湾の写真展を開催させて頂いた水中写真家 出羽慎一さんの写真展が
マルヤガーデンズで開催されています。

今回は坊津のサンゴがメインの写真展で、
錦江湾とはまた違った海の中の表情を見ることができますよ。

【出羽慎一写真展】

会期:平成25年1月22日(火)〜1月28日(月)
時間:10:00〜20:00
会場:マルヤガーデンズ地階
*)入場無料

 

錦江湾奥の新島(しんじま)

【ツアー】「船で行く錦江湾奥と新島探検」
【開催日】平成24年7月21日
【主 催】鹿児島大学総合研究博物館
【講 師】大木公彦先生(鹿児島大学名誉教授)
     鹿野和彦先生(総合研究博物館教授)

鹿児島大学総合研究博物館主催のツアーで
桜島の北東に浮かぶ新島(しんじま)へ行ってきました。
鹿児島の方には燃島(もえじま)の呼び名の方が身近かもしれませんね。

新島は桜島の安永の大噴火で溶岩が潜り込んで隆起した島なので
貝の化石の層が地上で帯状に見ることができます。

海底100mあたりに生息するという8000年前の牡蛎の化石がいたるところに落ちていて
参加していた子供たちもたくさん拾っていました。

現在、3世帯5名が住んでいらっしゃいますが、
1970年代までは小学校もあり、多くの人が住んでいたそうです。


島唯一の神社もきれいにされていました。

現在、島の海岸線は隆起したころの1/3ほどになり
「沈みゆく島」とも言われています。
これは沈んでいるのではなく海岸線が浸食されているので
現在はテトラポットで浸食止めをしています。

今回初めて知ったのですが、伊能忠敬もこの新島の海岸線を歩いて測量しているんですね!
本当に津々浦々歩いていることを知り、頭が下がる思いです。

ちなみに、島の南側にはミナミハンドウイルカの群れがいました。
10頭近くいたでしょうか。
写真は間に合いませんでしたがジャンプもしてたんです!

新島の後は若尊(わかみこ)カルデラの「たぎり」を見に。
海底200mあたりから出ている火山ガスです。
この下には180年分のレアメタルが眠っているとか…。
水面に水文が広がってみえるのが「たぎり」です。
この日はちょっとガスが少なかったようです。

最後は隼人三島(弁天島、辺田小島、沖小島)、別名 神造島(かみつくりじま)を通って
鹿児島市に戻ってきました。

桜島の浦之前港から1日2便定期便が出ているとはいえ、
なかなか渡ることのない新島に上陸でき、
隼人三島を沖から眺めるという貴重な体験をすることができました。

鹿児島大学総合研究博物館では11月に錦江湾奥に関する特別展を開催するそうです。
興味のある方はそちらにもぜひ足をお運びください。

 

「薩摩焼のカオリンと指宿ジオサイトめぐり」

 ↑ 幸屋火砕流と阿多カルデラ内の火山灰層(水迫)

【主 催】鹿児島大学総合研究博物館
【ツアー】「薩摩焼のカオリンと指宿ジオサイトめぐり」
【開催日】平成23年8月6日

鹿児島大学総合研究博物館主催の
「薩摩焼のカオリンと指宿ジオサイトめぐり」に参加してきました。

鹿児島は言わずと知れた火山県。
活火山の10%が鹿児島にあり
日本にある比較的新しいカルデラ9つのうち5つが九州にあり
内4つが鹿児島にあります。
その中の一つ阿多カルデラは指宿にあります。
ツアーでは阿多火砕流をはじめ縄文時代に噴火した池田湖の池田火砕流、
山川港の火口湖、平安時代まで噴火していた開聞岳などをめぐり
地球の息吹、火山の恵みをを感じてきました。

 ↑ 清見岳火山灰層(玉利)

中でも一番のお目当てはカオリンの地層です。

ここは、地元では「島津山」と呼ばれていて、
実際に薩摩焼の原料として採掘されていた場所です。

写真は両方ともカオリナイト化(粘土鉱物化)したもので赤い色は酸化鉄です。

このカオリンという鉱物は、現在は主に紙の原料に混ぜたり、
化粧品(ファンデーション)の原料となっているそうです。

川尻の海岸は開聞岳の噴出物でできた黒い砂浜が特徴。
この海岸の砂には、よーく見ると…


8月の誕生石ペリドット(オリビン)が沢山混ざっています。
 ↓これは川尻の海岸に沢山自生している「犬枇杷」。

枇杷といってもイチジクの仲間だそう。
濃い色に熟した実は甘くてクリーミーです。


右下の建物は山川の砂蒸し温泉。
海岸に沿ってそびえ立つ岸壁は池田湖の噴出物が堆積してできたものです。

この他、島津斉彬の墓石、最初の帝国ホテルのロビーに使われている指宿の山川石も見学。
また台風時、船舶の避難場所として有名な山川港(火山湖)を見学しました。
当日は台風9号の影響で外洋は大変時化ていましたが、
山川港は嘘のように凪ぎの状態で避難港の所以がよく分かりました。

鹿児島に住んでいる私たちが日常どれだけ火山の恩恵を受けているのか
身をもって実感できたツアーでした。

これも鹿児島の名所です

ただ今当館で開催中の「描かれた鹿児島の名所」展では
鹿児島のシンボル桜島や風光明媚な観光地、
昭和初期の漁村風景など様々な鹿児島の名所を描いた作品を展示しています。

中にはこのような作品も。

これは前畑省三氏の地層シリーズです。
左の白っぽい作品「地層 合」は鹿児島のシラス層を描いています。
右の赤っぽい作品「地層 D」は「赤ホヤ層」を描いたものです。

鹿児島の名所とよぶには少々マニアックかもしれませんが
でも、これらの地層は鹿児島ならではの地層なんです。

シラス層はおなじみの地層ですね。
このシラス層、実は2万9000年前の姶良カルデラによる噴出物(入戸火砕流)の堆積物です。
長い年月をかけて桜島の降灰が少しづつ積もった地層ではないのですね。

もうひとつの「赤ホヤ層」。
これは7300年前の鬼界カルデラの大噴火による噴出です。
この時の噴出物は気流に乗って日本全国に渡って降り積もり
現在は考古学において年代指標となっている地層です。

前畑氏の作品は作家の目を通した表現なので
実際の地層を写実的に描いているわけではありませんが
作品を前にすると、地層の背景にある自然の脅威や時間の重みがしっかりと伝わってきます。

余談ですが…
当館から車で3分ほどの場所に
8000万年前の四万十累層群と阿多火砕流の堆積層が見られるようになっています。

谷山インターから伊作峠に向かって車で1分もかからない、右手側にあります。

とても巨大なのですぐに分かりますよ。
お近くへお越しの方はぜひ足を延ばしてみて下さい。

← この看板が目印です

錦江湾の色

「桜島 海底に流れる時間」展も残すところ1週間あまりとなりました。

さて、今日は錦江湾の海の色のお話です。

写真展のチラシに掲載している「ミナミハンドウイルカ」と「アカオビハナダイ」の写真。
同じ錦江湾なのに海の色が違うことに気が付きましたでしょうか。

ミナミハンドウイルカは「青」
アカオビハナダイは「緑」です。

海の色というと普通イルカの写真のような青をイメージしますよね。
でも、なぜアカオビハナダイの方は緑なのか…。

錦江湾は季節によって海の色が変わり
青色は冬の色、緑色は夏の色、なのだそうです。

夏になると植物性プランクトンが豊富に繁殖し
その葉緑体が日光に透けて見えるので夏は海の色が緑色になるそうです。
出羽さんはこの錦江湾の夏色を「錦江湾Green」と名付けています。

私たちの日常にある四季折々の色に、地元ならではの名前を付けたら、
季節の移ろいが楽しくなって素敵ですね。

国立公園指定記念日

昨日のことになりますが、3月16日は『国立公園指定記念日』なのだそうです。
1934年3月16日、瀬戸内海・雲仙(現在の雲仙天草)・霧島(現在の霧島屋久)の3か所が
国立公園に指定され、この日に日本初の国立公園が誕生したのだそうです。

現在は全国に29の国立公園が指定されていますが、
日本初の国立公園の一つに指定された霧島屋久国立公園は
桜島を中心とした錦江湾地域が含まれているのをご存じでしょうか。
私たちがなにげなく見ている桜島や錦江湾は、日本を代表するすぐれた自然の風景地として
自然保護法という法律に基づいて指定されているのですね。

霧島屋久国立公園は『錦江湾地域』の他に
宮崎県と鹿児島県にまたがる『霧島地域』と南方海上の『屋久島地域』からなっています。
活動が活発になっている新燃岳や世界遺産に登録されている屋久島といった
多様な自然が見られる地域なのですね。

『国立公園指定記念日』という日があることを初めて知りましたが、
これを機会に全国の国立公園についてももっと知りたくなりました。

 国立公園ホームページ

鹿児島湾(錦江湾)のイクメン

近頃、イクメンと呼ばれる育児に積極的に参加する男性が増えてきているらしいですね。

実は、錦江湾にも育児をするオスの魚たちがいるんです。
中でも大変珍しい子育てをするのが「マダラギンポ」

このマダラギンポは体調が5cmほどの、手の小指くらいの小さなの魚です。
メスが産んだ卵に、孵化するまで胸びれを仰いで新鮮な海水を送り続け
なんと孵化した子供たち(仔魚)を口に含み
外敵のいないタイミングを見計らって放出してあげるのだそうです。

巣の外には、この仔魚やお父さんマダラギンポを狙って大きな魚が待ち構えているので
命がけの子育てですね。

このように仔魚を口に含んで放出してあげる子育てをする魚は
錦江湾で初めて発見されたそうです。
しかも発見したのは鹿児島大学の学生さんとか!

写真展ではお父さんギンポが子供たちを放出した瞬間の写真をご覧いただけます。
また、その瞬間の映像も併せて放映しておりますので
ぜひ貴重な子育ての瞬間をご覧ください。

2008年にはNHKの「ダーウィンが来た!」でも紹されました。
「ウラ日記」では撮影クルーをガイドされた出羽さんも登場してますよ。

余談ですが
以前のギャラリートークで、マダラギンポとはまた違った珍しい方法で
子育てをする魚「コスジイシモチ」のお話をして下さいました。
それは衝撃的な内容でした…。

興味のある方は会場で出羽さんに訪ねてみて下さいね。
今回写真の展示はしていませんが、出羽さんの写文集「桜島の海へ」でご覧いただけますよ。

 

錦江湾内の国指定特別天然記念物(メヒルギの北限地)


【 指 定 】国指定特別天然記念物「喜入のリュウキュウコウガイ産地」
【 撮影日 】平成23年2月21日
【撮影場所】鹿児島市喜入町生見

今回の写真展では錦江湾の水中の多種多様な生き物をご紹介しておりますが
錦江湾の沿岸には国指定の天然記念物が自生していることをご存知でしょうか。
「喜入のメヒルギ」と聞くと、ピンとくる方もいらっしゃるかもしれませんね。

メヒルギとは、私たちがマングローブで馴染みのある
泥土に根を張って森林を構成している、あの植物です。
果実の形が琉球のかんざし(笄)に似ていることから
「琉球笄(こうがい)」とも呼ばれているそうです。

そして、鹿児島市の南部、石油備蓄基地で有名な喜入町生見(ぬくみ)は
このメヒルギが自生する北限地になります。
東南アジアや奄美で見るメヒルギは、大きくて‘森林’という言葉がしっくりきますが
喜入のメヒルギは北限というだけあって2mほどの小振りです。

泥土で波の穏やかなところに森林を形成していくメヒルギ。
ここを通勤で毎日通っている方によると
年々メヒルギの数が減ってきているとか。
自生し辛い環境になってきているのでしょうか…。

一方、錦江湾は水深5m以内の浅瀬に海水の浄化作用があるそうですが
75%がすでに埋め立てられ、残っている25%の一部に現在人工島を建設中です。
このままでは潮の流れも変わるでしょうし、
ますます湾内の地形が変わっていくでしょう。
錦江湾の水質浄化作用やメヒルギの自生に影響はないのか心配です。

国道226号線を指宿方面に南下すると
錦江湾側にメヒルギ自生北限の地の看板が出ています。
昨年の2月には立派な観察ゾーンも設置されました。
ちょっとした休憩に立ち寄ってみてください。

お隣の海でも…

前回、桜島の降灰が錦江湾のサンゴに及ぼしている問題を書いたばかりでしたが、
宮崎県の日南海岸国定公園に指定されている日向灘でも
新燃岳の火山灰がサンゴに積もり、一部が死滅しているそうです。

『火山灰って海の底に沈むんだ!』と改めて実感された方も多いと思います。

側溝などには、水分を吸って重くなった火山灰が溜まりやすいですね。
水で流そうにも、なかなか流すのに苦労します。
当館にある噴水も、もともとはきれいな水色のタイルが見えていますが、
降灰のシーズンになると噴水の底に火山灰がびっしりと積もり、掃除も一苦労。

私たち人間は降り積もった火山灰を少しずつでも除去して行くことができますが、
海底に生きるサンゴたちは火山灰が降り止むのをじっと耐えて行くしかないのでしょうか。