第4回ギャラリートーク

昨日,坂田燦の「おくのほそ道」版画展の最後のギャラリートークが開催されました。
7月の第1回目から毎回参加され,すっかり坂田燦ファンになった方もいらっしゃいました。

今回のギャラリートークでは,版画の基本となるスケッチのコツについてお話くださいました。
描きたい対象物をどのように観察し描いていけば良いか。
また,全体のバランスと細部の両方に眼を配る「統合と分析」のとはどのようなことなのか,全員で体験しながらとても分かりやすく説明してくださいました。

また,坂田燦氏が「おくのほそ道」の版画を始めるきっかけとなったのは,大学時代の恩師である岡周末(ちかすえ)先生の講話だったそうです。岡先生は東京美術学校で藤島武二教室で学ばれ,卒業後しばらく藤島の紹介で鹿児島の師範学校で教鞭を取られていたそうです。
そして,その藤島武二の生誕150年記念展がこの時期に鹿児島市立美術館で開催されていることに,感慨深そうなご様子でした。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展は10月30日(火)までです。

大人向け俳句ワークショップ

坂田燦の「おくのほそ道」版画展にちなんで,大人向け俳句ワークショップを行いました。
美術館にて版画作品を鑑賞後,鹿児島伝統俳句協会の先生方と一緒に,近くの公園まで吟行へ。うろこ雲も入道雲も元気の良い気候の中,みなさん,たくさんの言葉を思い浮かべては,書き留めておられました。

そしていよいよ句会スタート!
先日,子供向け俳句ワークショップを行った際は,参加者のみなさんの俳句を短冊にしたため,七夕の笹に飾ったのですが,今回の大人向けワークショップは,本格的な句会となり,参加者それぞれが5つの俳句を詠みました。
最後に,全員のすべての句の中から,参加者それぞれが今日の一番を決める「特選」では,自分の感覚を代弁してくれている句を選ぶ方や,自分の気づかなかった情景を読んだ句を選ぶ方などさまざまで,詠み方にも,捉え方にも,いろいろな個性が垣間見える句会でした。

第3回ギャラリートーク

昨日は第3回目の坂田燦氏によるギャラリートークが行われました。
主題は,版画と俳句の共通点について,またそれに気づいたきっかけについて,でした。

坂田氏が版画と俳句に共通点を見出したのは,恩師である「岡周末先生」の講話の中で,芭蕉がいかに俳句を推敲していったか,その過程や意味について,知る機会を得たことがきっかけでした。

例えば,わたしたちが
「閑さや 岩にしみ入 蝉の声」
として知っている芭蕉の代表句は,そもそもは,違う言葉が並んでおり,数回の推敲を繰り返し,現在の形になったそうです。
それを知った坂田氏は,版画になるまでに何度も推敲を重ねる自らに制作過程によく似ていると感じたそうです。

また,推敲を重ねる過程においては,10あるものを10で表現するものではなく,版画が色を白と黒に限定していくように,または俳句が文字を12音に限定していくように,10あるものを2または3で表現しなければならない点も,版画と俳句は似ているとのことでした。

思いもよらない版画と俳句の共通点に,ギャラリートークに参加されたみなさんは,興味津々のようすでした。

次回は,10/15(日)に行います。
みなさまのご参加をお待ちしております。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展より⑥

8月29日高岡を発った芭蕉は,
倶利伽羅(くりから)峠を越えて午後2時ごろ金沢へ入りました。
ここ金沢では弟子の一人,小杉一笑(こすぎいっしょう)に会うことを大変楽しみにしており,着いたら先ず一番に一笑を訪ねようとしていました。

しかし,残念ながら一笑は前年に36歳の若さで亡くなっており,
金沢に到着して一笑の死を知った芭蕉は大変に悲しみました。
そして,9月5日に催された一笑の追善会でこの句を詠んだそうです。

「塚も動け 我泣声(わがなくこえ)は 秋の風」

墓前で私が泣く声は,秋風となって君が眠る塚を動かして,
君の魂まで届いているだろうか…

坂田燦の「おくのほそ道」版画展より⑤

松尾芭蕉の「おくのほそ道」の旅程も半ばを過ぎ
328年前の今頃は新潟県の出雲崎を訪れていました。

「荒海や佐渡によこたふ天河(あまのがわ)」

(出雲崎の大崎屋宿)

(新潟県直江津の荒海)

この出雲崎は佐渡島への渡船場であり,
佐渡島で採れる金銀の荷上場でもあったので,幕府の直轄地でした。
また,当時はその鉱山の労働力として罪人が送られる流刑地でもありました。

特徴的な三角屋根を持つ「妻入り」と呼ばれる家屋の町並みは今も残っており,
芭蕉が滞在した当時が偲ばれます。

芭蕉はこの句で,昔から変わらぬ荒々しい日本海,
その向こうの闇に沈む流刑地佐渡島
そして夜空に広がる天の河の対比を詠んでいます。

8月も半ばを過ぎているのに天の河?と思われるかもしれませんが,
旧暦ではちょうど七夕の時期に当たるので
きっと天の河が綺麗に見えたことでしょう。

第2回ギャラリートーク

本日は坂田燦氏による2回目のギャラリートークが開催されました。

今回の参加者は,中学生が半分,40代~90代が半分という幅広い年齢層でしたが
初任校での版画教育秘話から海老原喜之助のエピソード,
そして「右利きと左利きと版画」について,「描写」と「表現」の違いについて,など
どの世代が聴いても興味深い内容で,
大人から子供まで真剣に聴き入ったり笑ったりのあっという間の1時間でした。

前回とは違う内容だったので,2度目のご来館の方々も「もっと聴きたい!」
と次回のギャラリートーク参加の予約をしてお帰りになりました。
(ちなみに予約がなくても参加できますのでご安心を。)

本日は前回(50名)を上回る参加者で,座席のご用意が間に合わず
立ち見となってしまったお客様には,大変申し訳ございませんでした。
また9月の作品入れ替えの後にも開催いたしますので(9月17日と10月15日),
十分なお席をご用意して,ご来場をお待ちしております。

ギャラリートークのご案内

8月17日(木)午後2時~
坂田燦氏による「おくのほそ道」版画展の第2回ギャラリートークを開催します。

第1回目では,版画制作のご苦労や俳句との共通点
坂田氏による「おくのほそ道」紀行など興味深いお話に引き込まれました。

第2回目は1回目とは違った切り口でお話くださるそうです。
今回はどのようなお話が聞けるのか楽しみですね。

ギャラリートークは美術館2階絵画展示室で開催いたします。
予約不要。
中学生以下無料。
高校生以上は入館料が必要となります。
(70歳以上100円,高校生300円,大学生以上500円)

ご来場お待ちしております。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展より④

寛延21年(1644)伊賀国上野(現在の三重県伊賀市)に生まれた松尾芭蕉は
寛文2年(1662 芭蕉19歳)頃から津藩藤堂良忠に仕え,俳諧に親しむようになりました。
寛文12年(1672)江戸に移り,延宝8年(1680)深川の草庵に転居します。

翌年,門人から贈られた「芭蕉」が俳号の由来となりました。
ちなみに「芭蕉(ばしょう)」とは「バナナ」のことです。

これは江東区芭蕉記念館に生えている「芭蕉」です。
贈られた芭蕉がよく茂ったことから
芭蕉の住んでいた草庵は「芭蕉庵」と呼ばれるようになりました。

しかしこの2年後,芭蕉庵は天和の大火(井原西鶴が「好色五人女」で八百屋のお七の物語のモデルにした火事)で消失してしまいます。

現在,芭蕉庵跡は芭蕉稲荷神社となっています。

安政5年(1858)の「本所深川画図」では,
「松平遠江守」の屋敷の中に「芭蕉庵ノ古跡 庭中二有」と記されています。

これは坂田燦の作品に描かれた芭蕉庵です。
「草の戸も 住替る代ぞ 雛の家」

庵の柱の脇には,当時深川から見えたであろう富士山が描かれています。
舟も当時隅田川を往来していた舟を忠実に再現しているそうです。

さて,焼け出された芭蕉は,門人杉山杉風の別荘である彩茶庵(さいとあん)に移ります。

(彩茶庵跡)
そしていよいよ元禄2年(1689)
弟子の曾良(そら)と共に,この彩茶庵から「おくのほそ道」へ旅立ちます。

こども俳句ワークショップ

坂田燦の「おくのほそ道」版画展にちなんで,日本伝統俳句協会のご協力のもと,子ども向けの俳句ワークショップを開催しました。

はじめに「俳句とは?」「松尾芭蕉とは?」「おくのほそ道とは?」「季語・季題について」などのキーワードを伝統俳句協会の方々にご説明いただき,版画を鑑賞した後,美術館近隣の円明庵公園へ吟行へ。台風前の分厚い雨雲が太陽をさえぎり,ちょうど良い散策日和でした。「夏休み」「ひまわり」「蝉」などたくさんの夏の季語・季題を発見した一方で,公園にある「すべりだい」は春の季語・季題であることなど,学びながら,参加者それぞれが俳句を詠みました。詠んだ俳句はたんざくにしたため,美術館内の大きな七夕笹と一緒に涼しい風に揺られています。

参加してくれた子どもからは,「1つの句の中に「夏休み」「キャンプ」など2つ以上の季語・季題を使ったらいけないというルールをはじめて知って勉強になった」「俳句を考えてから版画を見るとまた見え方が違って見えて面白かった」などの感想をいただきました。

また先生方からは,「子どもならではの発想が俳句に表現されていてワクワクした経験だった」「仲の良い子どもたち同士がおしゃべりも忘れて俳句を考えてくれて嬉しかった」などの感想をいただきました。

参加くださった子どもたち,また教えてくださった先生方,ありがとうございました。

なお次回は,10/6(金)の午後2時から,大人向けの俳句ワークショップを行います。
みなさまのご参加をお待ちしております。