第2回ギャラリートーク

本日は坂田燦氏による2回目のギャラリートークが開催されました。

今回の参加者は,中学生が半分,40代~90代が半分という幅広い年齢層でしたが
初任校での版画教育秘話から海老原喜之助のエピソード,
そして「右利きと左利きと版画」について,「描写」と「表現」の違いについて,など
どの世代が聴いても興味深い内容で,
大人から子供まで真剣に聴き入ったり笑ったりのあっという間の1時間でした。

前回とは違う内容だったので,2度目のご来館の方々も「もっと聴きたい!」
と次回のギャラリートーク参加の予約をしてお帰りになりました。
(ちなみに予約がなくても参加できますのでご安心を。)

本日は前回(50名)を上回る参加者で,座席のご用意が間に合わず
立ち見となってしまったお客様には,大変申し訳ございませんでした。
また9月の作品入れ替えの後にも開催いたしますので(9月17日と10月15日),
十分なお席をご用意して,ご来場をお待ちしております。

ギャラリートークのご案内

8月17日(木)午後2時~
坂田燦氏による「おくのほそ道」版画展の第2回ギャラリートークを開催します。

第1回目では,版画制作のご苦労や俳句との共通点
坂田氏による「おくのほそ道」紀行など興味深いお話に引き込まれました。

第2回目は1回目とは違った切り口でお話くださるそうです。
今回はどのようなお話が聞けるのか楽しみですね。

ギャラリートークは美術館2階絵画展示室で開催いたします。
予約不要。
中学生以下無料。
高校生以上は入館料が必要となります。
(70歳以上100円,高校生300円,大学生以上500円)

ご来場お待ちしております。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展より④

寛延21年(1644)伊賀国上野(現在の三重県伊賀市)に生まれた松尾芭蕉は
寛文2年(1662 芭蕉19歳)頃から津藩藤堂良忠に仕え,俳諧に親しむようになりました。
寛文12年(1672)江戸に移り,延宝8年(1680)深川の草庵に転居します。

翌年,門人から贈られた「芭蕉」が俳号の由来となりました。
ちなみに「芭蕉(ばしょう)」とは「バナナ」のことです。

これは江東区芭蕉記念館に生えている「芭蕉」です。
贈られた芭蕉がよく茂ったことから
芭蕉の住んでいた草庵は「芭蕉庵」と呼ばれるようになりました。

しかしこの2年後,芭蕉庵は天和の大火(井原西鶴が「好色五人女」で八百屋のお七の物語のモデルにした火事)で消失してしまいます。

現在,芭蕉庵跡は芭蕉稲荷神社となっています。

安政5年(1858)の「本所深川画図」では,
「松平遠江守」の屋敷の中に「芭蕉庵ノ古跡 庭中二有」と記されています。

これは坂田燦の作品に描かれた芭蕉庵です。
「草の戸も 住替る代ぞ 雛の家」

庵の柱の脇には,当時深川から見えたであろう富士山が描かれています。
舟も当時隅田川を往来していた舟を忠実に再現しているそうです。

さて,焼け出された芭蕉は,門人杉山杉風の別荘である彩茶庵(さいとあん)に移ります。

(彩茶庵跡)
そしていよいよ元禄2年(1689)
弟子の曾良(そら)と共に,この彩茶庵から「おくのほそ道」へ旅立ちます。

こども俳句ワークショップ

坂田燦の「おくのほそ道」版画展にちなんで,日本伝統俳句協会のご協力のもと,子ども向けの俳句ワークショップを開催しました。

はじめに「俳句とは?」「松尾芭蕉とは?」「おくのほそ道とは?」「季語・季題について」などのキーワードを伝統俳句協会の方々にご説明いただき,版画を鑑賞した後,美術館近隣の円明庵公園へ吟行へ。台風前の分厚い雨雲が太陽をさえぎり,ちょうど良い散策日和でした。「夏休み」「ひまわり」「蝉」などたくさんの夏の季語・季題を発見した一方で,公園にある「すべりだい」は春の季語・季題であることなど,学びながら,参加者それぞれが俳句を詠みました。詠んだ俳句はたんざくにしたため,美術館内の大きな七夕笹と一緒に涼しい風に揺られています。

参加してくれた子どもからは,「1つの句の中に「夏休み」「キャンプ」など2つ以上の季語・季題を使ったらいけないというルールをはじめて知って勉強になった」「俳句を考えてから版画を見るとまた見え方が違って見えて面白かった」などの感想をいただきました。

また先生方からは,「子どもならではの発想が俳句に表現されていてワクワクした経験だった」「仲の良い子どもたち同士がおしゃべりも忘れて俳句を考えてくれて嬉しかった」などの感想をいただきました。

参加くださった子どもたち,また教えてくださった先生方,ありがとうございました。

なお次回は,10/6(金)の午後2時から,大人向けの俳句ワークショップを行います。
みなさまのご参加をお待ちしております。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展より③

今から328年前の今日
松尾芭蕉は秋田県象潟町の汐越(塩越)にてこの句を詠みました。

汐越や 鶴はぎぬれて 海涼し

汐越の浅瀬の鶴たちが,海水のしぶきに はぎ(=脛すね=ひざ下からくるぶしまで)
をぬらしながら餌をついばむ姿に涼しさを感じた一句です。

鶴は明治時代までは全国で普通に見られる鳥でした。
鹿児島はナベヅル、マナヅルの90%以上が出水市で越冬するため
今でも大変なじみの深い鳥ですが,現在他の地域では山口県周南市八代以外は
ほとんど見ることはできません。

そして…鶴は少なくとも平安時代から食材として重宝されていました。
17世紀に書かれた『本朝食鑑』にも,一番おいしいのはナベヅル、マナヅルと記載があるそうです。ちなみに絵画に描かれることの多い丹頂鶴は,見栄えはいいですが肉質が硬く食用には向いていないそうです。

「おくのほそ道」から少し話がそれてしまいましたが
今は見ることのできない,秋田の海辺に降り立つ鶴の姿を思い描きながら
この作品をご覧になってみてください。

ギャラリートーク:坂田燦の「おくのほそ道」版画展

昨日, 坂田燦の「おくのほそ道」版画展  の初日を無事に迎えることができました。
午後からは坂田氏によるギャラリートークが開催され
坂田氏の中学教諭時代の生徒さんから近所の中学生まで
展示室がいっぱいなるほど多くの方がお越しくださいました。

版画制作から松尾芭蕉の話まで,1時間があっという間に感じるほど先生のお話は面白く
興味深い内容でしたので,みなさんすっかり話に聞き入っていらっしゃいました。

次回ギャラリートークは8月17日(木)午後2時からです。
ご興味のある方はぜひ足をお運びください。
(予約不要)

坂田燦の「おくのほそ道」版画展より②

いよいよ明日から 坂田燦の「おくのほそ道」版画展 が始まります。
初日の明日は,午後2時から坂田燦によるギャラリートーク(作品解説)がありますので
ぜひ時間を合わせてお越し下さい。

さて,本日7月29日。
松尾芭蕉は山形県酒田市の最上川を訪れました。

暑き日を 海にいれたり 最上川
(最上川が一日の暑さまで海に流し込んだのか,
夕日が沈むと辺りが急に涼しくなってきたようだ)

陽が沈みゆく日本海に向かって流れ込む最上川が描かれています。
(*)本作品は後期日程(9月14日~)の展示になります。

酒田市はグリーンフラッシュ(緑の光線)が見られる確率が高いそうですね。
芭蕉も酒田の夕日が沈むとき,グリーンフラッシュを見たのでしょうか。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展より①

7月30日(日)から開催の
坂田燦の「おくのほそ道」版画展 の準備が着々と進んでおります。

さて,本日7月24日は,5月16日に「おくのほそ道」に向けて江戸の深川を発った
芭蕉と弟子の曾良(そら)が山形県鶴岡市の湯殿山に入った日です。

その湯殿山で詠まれた句は
語られぬ 湯殿にぬらす 袂(たもと)かな  芭蕉
(神秘の出羽三山(羽黒山,月山,湯殿山)は修験道の山。
浄衣の白装束で歩き,やっと巨岩の頂きから熱湯が噴出する霊岩の御神体にたどり着いた。
他言無用の霊場。ふしぎなありがたさに感動し,涙で袂を濡らしてしまった。)

湯殿山 銭ふむ道の 泪(なみだ)かな    曾良
(参道入口で荷物や草鞋を置いて,裸足で御神体あたりの湯にひたしながら
お賽銭を踏み歩いて参拝。恐れ多い霊山の尊さに感涙した。)

これは,二人の句の情景を作品にした坂田燦の作品です。
芭蕉と曾良が湯殿山に畏敬の念を抱く様子が伝わってきます。
(*)本作品は後期日程(9月14日~)での展示になります

 

「海から生まれた作品展」より「オオイソバナ」と「珊瑚礁」

本日ご紹介する作品は前畑省三氏の油彩画
「オオイソバナ」(左)と「珊瑚礁」(右)です。
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両作品とも鹿児島の海で見ることのできる風景です。
作品右の珊瑚礁はエダサンゴです。
作品上部に水面のさざ波が描かれているように
水深の浅いところでシュノケーリングでも見ることができます。

作品左のオオイソバナ。これもサンゴの一種になります。
少し水深の深いところへいかないと見るとはできませんが
鹿児島の海にも多く生息しています。
水中では赤い光(太陽光)が届かないので黒っぽく見えますが
ライトを当てると本作品のように真っ赤な色で浮かび上がりとても幻想的です。

お盆が過ぎてそろそろクラゲも出てくる頃で,海から足が遠のきますね。
当館の作品で海へ行った気分に浸ってみませんか。

「海から生まれた作品展」より錦江湾の写真

「海から生まれた作品展」では写真も展示しています。
私たちにとって一番なじみの深い錦江湾は
珊瑚礁やニモでおなじみのクマノミから深海魚まで
多種多様な生き物が生息しています。
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その錦江湾の生き物を撮影した水中写真家 出羽慎一氏の作品が10点
絵画展示室でご覧いただけます。

錦江湾に住むイルカやポニョで有名になったタコクラゲなど
出羽氏の楽しい解説キャプション付きでご案内しています。
錦江湾がますます身近に感じられますよ。