この一品:「椋鳩十直筆原稿・取材ノート」


朝日新聞の「この一品」で、開催中の「椋鳩十と薩摩伝統工人たち」から、
椋鳩十の「薩摩伝統工人伝」の直筆原稿と取材ノート(かごしま近代文学館保管)をご紹介させていただきました。
展示室では原稿を書くときに愛用していたフェルトペン(椋鳩十文学館記念館保管)も併せて展示しています。原稿の筆致から椋先生のお人柄や書斎での様子が目に浮かぶのではないでしょうか。

画像:(朝日新聞 平成30年1月11日付 第2鹿児島面 「この一品」
掲載承諾書番号:18-0093 本記事は朝日新聞社に無断で転載することはできません)

第1回ギャラリートーク:久保田里花さん

本日、椋鳩十のお孫さんである久保田里花さんによるギャラリートークが開催されました。
展示している椋鳩十関連資料の解説とそれにまつわるエピソードや
一緒に生活を共にしていたご家族だからこそ知っている素顔などお話いただきました。

(頻繁に通っていたソバ屋天神房丸新で即興で書いた色紙について解説をする里花氏)

椋鳩十が好きだった薩摩藩士で第3回パリ万博で奔走した前田正名(まさな)の
機転のきいた「便所」のエピソードや、
仕事関係者から初対面のファンまで、ホテルをキャンセルさせてご自宅に泊めていたこと。
鹿児島県内津々浦々巡って、鹿児島の自然、食、文化などの素晴らしさを熟知されていたことなど、盛りだくさんお話いただきました。

また、当館に贈呈された著書「薩摩伝統工人伝」の見返しに書かれた「芸」の由来も
本日の里花さんのお話で判明しました。

里花さんのお話を聴いて、改めて椋鳩十作品を読んでみたくなった方も多いと思います。
先日、椋鳩十作品が絵本として出版されたので、よかったらお手に取ってみてくださいね。

出版社:理論社

久保田里花氏によるギャラリートーク


南国鹿児島にも雪がちらついて、冬本番となってきましたね。

さて、今週の土曜日(13日)午後2時から、椋鳩十先生のお孫さんで
児童文学作家の久保田里花さんによるギャラリートークを開催いたします。
椋鳩十先生と生活を共にしていたご家族ならではのエピソードや、
企画展で展示している椋先生関連の資料についてお話いただきます。

予約、参加費は不要です。(入館料は必要です)
参加ご希望の方は、当日午後2時前に、1回展示室にお集まりくださいね。

久保田里花さん

椋鳩十著「薩摩伝統工人伝」


この度の企画展は、
椋鳩十の著書「薩摩伝統工人伝」(西日本図書館コンサルタント協会、昭和54年発行)
に椋鳩十の目をとおして描かれた工人12名を作品や資料を展示して紹介しています。

この「薩摩伝統工人伝」は、もともと南日本放送が発行していた「MBCクォータリー」(非売品)という冊子に寄稿されていたもので、本書は、その中から12名の工人を抜粋して書籍化したものになります。

「MBCクォータリー」は、放送業界の専門的な記事をはじめ、当時の各分野の文化人、著名人が寄稿している大変興味深い内容となっていて、今となっては大変貴重な資料です。
椋鳩十は創刊時から寄稿しており、創刊から「日高山伏物語」(掲載期間:昭和34年~昭和37年)、次に「日本一さつま」(掲載期間:昭和38年~昭和42年 他県に誇れる薩摩の自然や衣食住、習慣などを紹介する内容)を寄稿しています。

「薩摩伝統工人伝」は昭和43(1968)年から昭和57(1982)年まで寄稿されていましたが、
残念ながら昭和57年Spring号(3月10日発行)をもってMBCクォータリーは廃刊となってしまいました。

「薩摩伝統工人伝」と「MBCクォータリー」は鹿児島県立図書館に収蔵されていますので、
ご興味のある方はぜひ一読されてみてください。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展 終了しました

坂田燦の「おくのほそ道」版画展,無事最終日を迎えることができました。
会期中は多くの方にお越しいただき,ありがとうございました。

当館の企画展では50点の作品を展示いたしましたが
坂田氏の「おくのほそ道」版画制作はまだまだ続きます。
今年の夏は月山に登られたので,次の作品は月山を詠んだ句になるのでしょうか。
どんどん広がる坂田燦の「おくのほそ道」の世界を想像するだけでワクワクします。

当館での展示は終了しましたが,「おくのほそ道」版画集はしばらく販売いたします。
お求めを希望の方は受付までご連絡ください。

第4回ギャラリートーク

昨日,坂田燦の「おくのほそ道」版画展の最後のギャラリートークが開催されました。
7月の第1回目から毎回参加され,すっかり坂田燦ファンになった方もいらっしゃいました。

今回のギャラリートークでは,版画の基本となるスケッチのコツについてお話くださいました。
描きたい対象物をどのように観察し描いていけば良いか。
また,全体のバランスと細部の両方に眼を配る「統合と分析」のとはどのようなことなのか,全員で体験しながらとても分かりやすく説明してくださいました。

また,坂田燦氏が「おくのほそ道」の版画を始めるきっかけとなったのは,大学時代の恩師である岡周末(ちかすえ)先生の講話だったそうです。岡先生は東京美術学校で藤島武二教室で学ばれ,卒業後しばらく藤島の紹介で鹿児島の師範学校で教鞭を取られていたそうです。
そして,その藤島武二の生誕150年記念展がこの時期に鹿児島市立美術館で開催されていることに,感慨深そうなご様子でした。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展は10月30日(火)までです。

大人向け俳句ワークショップ

坂田燦の「おくのほそ道」版画展にちなんで,大人向け俳句ワークショップを行いました。
美術館にて版画作品を鑑賞後,鹿児島伝統俳句協会の先生方と一緒に,近くの公園まで吟行へ。うろこ雲も入道雲も元気の良い気候の中,みなさん,たくさんの言葉を思い浮かべては,書き留めておられました。

そしていよいよ句会スタート!
先日,子供向け俳句ワークショップを行った際は,参加者のみなさんの俳句を短冊にしたため,七夕の笹に飾ったのですが,今回の大人向けワークショップは,本格的な句会となり,参加者それぞれが5つの俳句を詠みました。
最後に,全員のすべての句の中から,参加者それぞれが今日の一番を決める「特選」では,自分の感覚を代弁してくれている句を選ぶ方や,自分の気づかなかった情景を読んだ句を選ぶ方などさまざまで,詠み方にも,捉え方にも,いろいろな個性が垣間見える句会でした。

第3回ギャラリートーク

昨日は第3回目の坂田燦氏によるギャラリートークが行われました。
主題は,版画と俳句の共通点について,またそれに気づいたきっかけについて,でした。

坂田氏が版画と俳句に共通点を見出したのは,恩師である「岡周末先生」の講話の中で,芭蕉がいかに俳句を推敲していったか,その過程や意味について,知る機会を得たことがきっかけでした。

例えば,わたしたちが
「閑さや 岩にしみ入 蝉の声」
として知っている芭蕉の代表句は,そもそもは,違う言葉が並んでおり,数回の推敲を繰り返し,現在の形になったそうです。
それを知った坂田氏は,版画になるまでに何度も推敲を重ねる自らに制作過程によく似ていると感じたそうです。

また,推敲を重ねる過程においては,10あるものを10で表現するものではなく,版画が色を白と黒に限定していくように,または俳句が文字を12音に限定していくように,10あるものを2または3で表現しなければならない点も,版画と俳句は似ているとのことでした。

思いもよらない版画と俳句の共通点に,ギャラリートークに参加されたみなさんは,興味津々のようすでした。

次回は,10/15(日)に行います。
みなさまのご参加をお待ちしております。

坂田燦の「おくのほそ道」版画展より⑥

8月29日高岡を発った芭蕉は,
倶利伽羅(くりから)峠を越えて午後2時ごろ金沢へ入りました。
ここ金沢では弟子の一人,小杉一笑(こすぎいっしょう)に会うことを大変楽しみにしており,着いたら先ず一番に一笑を訪ねようとしていました。

しかし,残念ながら一笑は前年に36歳の若さで亡くなっており,
金沢に到着して一笑の死を知った芭蕉は大変に悲しみました。
そして,9月5日に催された一笑の追善会でこの句を詠んだそうです。

「塚も動け 我泣声(わがなくこえ)は 秋の風」

墓前で私が泣く声は,秋風となって君が眠る塚を動かして,
君の魂まで届いているだろうか…