「鹿児島の洋画の系譜」「視点」

休みの日、時間が許せばできるだけ他館へ足を運ぶようにしています。

昨日は「田中一村」展の感想を書きましたが、実は同じ日に、黎明館で開催中の

「鹿児島の洋画の系譜」展

同じく黎明館で開催中の写真展「視点」

に行って来ました。洋画の系譜展のほうは5カ月も前から開催されているのに、いずれいずれと思いながら会期末になってしまいました…。でも、間にあってよかったです。鹿児島の洋画の礎を築き、発展させていった画家たちが、時系列に沿って作品と併せて師弟関係、交友関係も紹介されているので、鹿児島洋画史を大変分かりやすく勉強させていただきました。

また、黎明館2階で開催されている写真展「視点」はJRP日本リアリズム写真集団の公募展で受賞、入選した方の写真展です。10月9日(土曜日)には審査をされた英伸三(はなぶさしんぞう)先生の作品講評があるそうです。

田中一村展

昨日は当館の休館日。

早速、鹿児島市立美術館で開催中の「田中一村 新たなる全貌」展へ行ってきました。一度は奄美の田中一村記念美術館へいってみたいとは思いつつ、そう簡単には足を運べないのが現状なので鹿児島市内でこれだけの田中一村の作品群を観ることができると知ったときから心待ちにしていました。

田中一村は鹿児島ではある程度の知名度がありますが、奄美大島で奄美の自然を描いた孤高の画家、というイメージ以上のことは意外と知られていないかもしれません。今回の一村展では、学術調査に基づいた初めての本格的な作品展というだけあり、少時代の作品から中央画壇に認められたく試行錯誤した痕跡の残る作品、奄美での作品群など多角的な資料から、田中一村という一画家の画業を掘り下げていました。

 

かなり見ごたえのある企画展でした。会期中、もう一回行けたらいいなぁ。それからやっぱり、奄美の作品群は奄美で見てみたいなぁ。

高倉の燻蒸

本日、鹿児島大学総合研究博物館で奄美の高倉の燻蒸作業を行うということなので、見学させていただきました。

燻蒸(くんじょう)とは、煙で燻して害虫の駆除をすることです。この鹿児島大学正門そばに展示されている「奄美の高倉」とは、明治16(1883)年に鹿児島県大島郡大和村恩勝に創建され、昭和34(1959)年に鹿児島県立博物館に寄贈されたものです。長く屋外展示として活用されていましたが、平成13(2001)年に不慮の火災により損傷を受け、その後鹿児島大学工学部建築学科によって、現在の場所に再建されました。(鹿児島大学総合研究博物館HPより)

当館は屋外展示物というものがないので、建造物の燻蒸は初めての体験でした。てっきり、何かバルサンのような薬品を含んだ材木などを燃して燻蒸するのだと思っていたのですが、普通の木材(建築資材などは薬品などが含まれているから不可だそう)を燃して、煙を茅葺屋根に充満させて駆除するんですね。薬品を使用せず、純粋に煙だけで燻蒸とは意外でした。考えてみたら、昔は茅葺屋根の家には囲炉裏があって、日常生活で燻蒸されるようになっていたんですね。現在はこうして定期的に人為的に燻蒸しなければならないから大変です。

暑い中貴重な体験をさせていただきました。

「鹿児島の活火山」展

ただ今開催中の鹿児島大学総合研究博物館の企画展
【鹿児島の活火山】 に行ってきました。

九州にある5つのカルデラのうち4つは鹿児島県にあるという
火山無しでは語ることのできない鹿児島県。
といっても危険と背中合わせ!というわけではなく
他県では見られないほど豊かな恵みを火山からたくさん頂いている土地柄なのです。

夏休みに開催した「錦江湾海底物語」も
火山が創り出した特異な地形が育んできた生き物たちの写真展ともいえますね。

この「鹿児島の活火山」展では先ず、火山とは何ぞや、鹿児島の火山、
火山から頂いた恵みの数々などが紹介されていて、一つ一つがとても興味深いのです。

一口に‘溶岩’といっても含まれている成分や固まる過程で七変化し
中でもビックリしたのが「ペレー(火山の女神)の涙」と「ペレーの髪」。
なんとも粋なネーミングですが、これは両方とも溶岩!
女神がこぼした涙に相応しいほど美しい雫形と
本物のブロンドヘアーと見紛うてしまった金糸状の溶岩なんです。
自然の創り出す芸術品にはかないませんね。

他にも感動したのは、指宿権見神社近くの白土。
これは薩摩焼の上薬として用いられていた粘土質の白土なのですが、もともとは安山岩。
それが何万年もかけて粘土質化し、
上薬として使えるほどの白土と化していく過程が見られるのです!
薩摩焼が薩摩焼たる由縁も、この火山の恵みに満ちた土地柄ゆえなんでしょうね。
感無量です…。

その他にも、桜島の安永の大噴火を描いた木下逸雲の「安永噴火」(鹿児島県図書館蔵)や
平家物語に出てくる霧島の大噴火の一節、3万年前から現在までの地層や
桜島で観測中の地震のデータがオンタイムで見ることもできました。

活火山=桜島=火山灰=迷惑 という先入観がありましたが
火山に対する価値観が変わり、大きな感動をもらってくることができました。

【詳細】
 入場:無料
 期間:11月21日(金)まで
 時間:10:00〜17:00
 場所:鹿児島大学郡元キャンパス
    総合教育研究棟2Fプレゼンテーションホール