8/8(木)有山禮石氏ギャラリートーク

8/8(木)は指宿長太郎焼窯元 有山禮石さんのギャラリートークを行いました。

9歳のころまで谷山で育ったという禮石氏ですが,記憶のある三代の頃を振り返り「材料は自分たちでトラックを運転し山に出向いて持ってきて,燃料は近くの木材や廃材を利用しながら,子供だった自分も含め家族総出で作っており,指宿窯の近隣もわずか20戸あまりしか民家がなかった」と語りました。現代に至る過程で,燃料は薪から石炭,重油,ガス,電気と変化し,窯周辺の民家も500戸近くに増えたとのこと。

また時代にあわせて,職人や作家たちの作陶にかける時間にも変化があり「現代は寝食忘れて家族総出,というわけにはいかないが,その分,継承された技術と新しい時代の化学的知識を活用して,現在の作家として活動を行っている」そうで,「化学的な計算は小数点以下5桁まで」行うそうですが「それでも最後は勘が働かないとうまくいかない」。

そんな中でも,氷裂紋は「北海道の流氷の美しさを表現したかった」と十数年の研究を重ねた禮石氏が生み出した独自の表現ですが「古希を超えた今でも,これに甘んじることなく,違ったアイディアを試したい」と「自分の定数を探す」日々だそうです。

加えて,各時代や,現在の窯元別の「鉄釉」の比較についても「材料や環境,技術も気持ちも,それぞれ全部違うから,自分なりの好みの鉄釉を見つけてみて欲しい」とのことでした。

「開窯120年 長太郎焼展」は,8/14(水・休館)に一部展示替えを行い,9/23(月・祝日)まで開催しております。
時代や作家によって異なるさまざまな鉄釉や,禮石氏の氷裂紋を,ぜひご覧ください。