池田政敏展から「シュロとブーゲンビリア」

シュロとブーゲンビリア50-100
「シュロとブーゲンビリア」
(1998年頃 油彩・カンバス)

「-与論を描いた画家-池田政敏展」のポスターにも使われている本作品は
150号(縦1m80cm×横2m30cm)という本展で一番大きな作品です。

この作品を描くために池田は1年半もの間シュロを観察し
完成まで1年8ヶ月かけたそうです。
最初はブーゲンビリアとシュロだけでしたが
オオゴマダラが大群で越冬している場所を偶然見つけ,
嬉々として帰宅すると画面にオオゴマダラを描き加えたのだそうです。

画面左側に群生している白い花がブーゲンビリア,
全体を覆っている扇状で先端が裂けて垂れ下っている葉がシュロ,
中央をひらひらと舞っているのがオオゴマダラです。

シュロの葉が茂る中央にブーゲンビリアとシュロの花があしらわれ
濃い緑の中に咲く花をかすかに照らす陽射しによって
この作品の前に立つと深いシュロの森へと吸い込まれてしまいそうになります。

ちなみにこの作品に描かれている「シュロ」とは「ビロウ」のことで
与論ではビロウもシュロも「シュロ」とよんでいるようです。
与論の言葉では「フバ」といい、
このフバは葉が丈夫なため大変有用な木で
カゴ(フバ籠)やカサ(フバ笠)などの材料となり,生活に欠かせない木でした。
33回忌法要では葉で扇を作って供える習わしがあります。
フバの扇を仰いで天に向かうのだそうです。